研究課題/領域番号 |
08269205
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 融 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (10251480)
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研究分担者 |
堀越 正美 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (70242089)
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キーワード | HIV / TFIID / Tat / Sp1 / NF-κB / two-hybrid法 / 転写因子 / one-hybrid法 |
研究概要 |
HIVの転写調節反応は、転写調節因子であるとされるSp1、NF-κBがDNAエレメントに結合して働くこと、HIVウィルス遺伝子由来のTat因子が反応調節に関与することなどが示されている。しかしながら、Sp1が結合するとされるDNAエレメントはSp1コンセンサス配列とは大きく異なり、異なる因子が相互作用している可能性が考えられる。また、Tatにしてもその標的因子の解析は広く進められているものの、その中で決定的な因子は見出されていないといえる。本研究では、これらの知見を越える新しい成果を得ることができた。 1)HIVプロモーター領域に結合する新しいタイプの転写因子の単離:Sp1結合部位と考えられるDNAエレメントは、Sp1コンセンサス配列とは大きく異なるので、Sp1とは異なる因子が相互作用している可能性が考えられる。そこで、このDNAエレメントに相互作用する因子の単離を試みたところ、Sp1とは異なるが、Sp1と同様のタイプのzinc finger構造を持つ因子が単離された。このことはSp1でなく、この因子が相互作用してHIV転写で機能する可能性を示唆している。この知見は、HIVの転写調節を考える上で新たな方向性を示している。 2)Tatと相互作用する新しいタイプの因子の単離:Tatと相互作用する因子として様々なタイプのものが単離されているが、どれひとつを取ってみても真の因子であることが証明されていない。TFIIDと相互作用する因子として単離されてきた因子の中に、Tat相互作用因子として得られた因子群のひとつと一致するものがあった。しかも、この因子はヒストンアセチルトランスフェラーゼ様因子であること、そのTFIIDサブユニットがヒストン相同性を持つことから、これらの結果は極めて合理的であるといえるばかりでなく、HIV転写の新局面を切り開けると考えられる。
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