研究概要 |
研究目的:我々はT細胞エピトープの同定に、いままでの方法とは異なった方法、すなわちMHCクラスI分子に結合する自己抗原ペプチドのモチーフよりCTLエピトープを同定する方法(リバース・イムノジェネティックス法)を以前に確立した。この方法を用いてHLAクラスI分子が提示するHIV-1蛋白由来のCTLエピトープを多数同定し、さらにこれらのエピトープに対するCTLクローンを作製してCTLのエピトープ認識を詳細に検討する。 研究結果:HLA-B^*3501,-B^*5101および-A^*2402結合自己抗原ペプチドのモチーフに一致したprimary anchorをもったHIV-1およびHCV由来のペプチドを多数合成し、RMA-Sトランスフェクタント細胞を用いたHLAクラスI stabilization assayによってそれぞれのHLAクラスIに結合するHIV-1ペプチドを同定した。HLA-B35およびHLA-A24をもったHIV-1感染者のPBLを、HLA-B^*3501,-A^*2402結合HIV-1ペプチドで刺激し、特異的CTLを誘導することによりHIV-1 CTLエピトープを同定した。HLA-B^*3501分子によって提示される9種類、HLA-A^*2402分子によって提示される11種類のHIV-1 CTLエピトープが同定できた。これらのエピトープに対するCTLクローンをすべて作製し、このクローンを用いてこれらの20種類のエピトープを確認した。またHLA-B^*3501が提示するHIV-1エピトープのmutantに対するCTLの認識を調べた結果、約半数のmutantはT細胞に認識されなかった。これらの多数はT細胞レセプターによる認識の低下が原因と考えられた。
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