研究課題/領域番号 |
08269210
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山本 健一 金沢大学, がん研究所, 教授 (60115285)
|
研究分担者 |
清水 弘子 金沢大学, がん研究所, 助手 (20126585)
善岡 克次 金沢大学, がん研究所, 助教授 (60200937)
|
キーワード | 転写因子 / NF-κB / インヒビター / 蛋白分解 / p53 / 細胞周期 / アポトーシス / 相互作用 |
研究概要 |
NF-κBは当初、炎症性サイトカインによって主に活性化され、炎症反応に重要な役割を果たしている転写因子として同定されたが、我々は、酸化ストレス、紫外線、低酸素、抗ガン剤、免疫抑制剤、等の多様な環境ストレスや薬剤によって活性化されることを明らかにした。このことはエイズ病態において、様々な条件下でNF-κBが活性化されることを意味する。われわれは、このような様々なストレスによるNF-κBの活性化に、従来NF-κB活性化の阻害剤として広く用いられているN-acetyl Cysteine意外に、ある種のフラボノイドやカテキンがNF-κBの活性化を効果的に抑制することを明らかにした。また我々は免疫抑制剤FK506によりIκBαの分解を介してNF-κBの活性化が起こることを明らかにしたが(J.Clin.Invest.,1996)、その機序としてFK506によるFKBPのpeptidylpropyl-cis-trans isomerase(PPI)活性の阻害によるERでの蛋白のfoldingの阻害が考えられることから、PPI活性は阻害するが、そのほかの活性はないFK506誘導体について検討した結果、FK506によるNF-κBの活性化の機序として、FKBPのPPI活性の阻害によるものではないと結論された。さらに、NF-κBインヒビターのIκBα/βの燐酸化とプロテアゾームによる蛋白分解について検討した。その結果、FK506によるIκBαの分解はプロテアゾームの阻害剤によって阻害されず、またFK506によるIκBαN末部の燐酸化も認められなかった。以上の結果は、FK506によるNF-κBの活性化は、いままでに報告されているIκBαN末部の燐酸化を介するプロテアゾームによるIκBαの分解とは異なる、新しいIκBαの分解経路によって起こると考えられた。
|