研究課題/領域番号 |
08270213
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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研究分担者 |
服部 光治 東京大学, 薬学部, 助手 (60272481)
青木 淳賢 東京大学, 薬学部, 助手 (20250219)
新井 洋由 東京大学, 薬学部, 助教授 (40167987)
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キーワード | PAF / 分解酵素 / 遺伝病 |
研究概要 |
細胞内Ib型PAF acetylhydrorase(PAF-AH)は調節サブユニットと想定されるαと2つの活性サブユニットβ、γ計3つのサブユニットからなるヘテロトリマ-型酵素である。また、生体内にはαサブユニットが結合していないヘテロダイマー(β、γ)のIa型PAF-AHも存在する。ヒトにおけるαサブユニットの欠損がMiller-Dieker症候群(脳回が形成されない病態)を引き起こすことから、PAF-AHが脳神経系の形態形成に関与していることが示唆されている。生体内で3つのサブユニットタンパクの発現量を特異的抗体により調べたところ、その比は成体各臓器間で大きく異なっていた。in vitroにおいてβ、γサブユニットを単独で発現させた場合にホモダイマー構造をとることから、実際このようなホモダイマーが生体内に存在する可能性が示唆された。これらのサブユニットの様々な組み合わせにより生じるアイソフォームについて、機能的な差異、各サブユニット間のアセンブル機構を明らかにすることを目的として、各サブユニットのcDNA組み換えバキュロウイルスを作製し、1つの細胞に複数の組み換えバキュロウイルスを感染させることにより、様々な複合体をin vitroでつくらせる系を確立した。この系によりαとγを発現させて場合には、γを発現させた場合と比較して顕著にPAF-AH活性が低いことが観察された。また、ラットの発生過程においてγサブユニットの発現に変動があることも示されたことから、サブユニットの組み合わせによって、酵素活性発現、さらには多様な生理機能の発現が調節されている可能性が示唆された。
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