1)6種類のunc-14変異株につき、UNC-51との相互作用によって同定された665アミノ酸のタンパク質をコードするcDNAの全塩基配列を決定したところ、そのどれもがN末端近くをコードする部分にナンセンス変異を持っていた。この結果及び、このcDNAを含むいくつかのDNA断片がunc-14変異を相補することから、このタンパク質がunc-14遺伝子の産物であることが証明された。2)しかし、C末側コード領域44%を欠くゲノムDNA断片もunc-14変異の相補活性を持つことが協同研究者Barnesにより示された。従って、C末側の44%はUNC-14の機能に必須でないと考えられる。3)UNC-14タンパク質のアミノ酸配列と重要な相同性を持つ既知のタンパク質はデータベース中に見出されない。4)unc-14/lac Z融合タンパク遺伝子及びunc-14プロモーター/GFP融合遺伝子の発現を調べた結果、これらが、unc-51/lac Z融合遺伝子と同様に、殆ど全てのニューロンで発現していることが示された。特にGABAまたはセロトニンに対する抗体による染色と共焦点顕微鏡による同時観察により、DD/VDニューロン及びHSNニューロンでunc-14及びunc-51の融合遺伝子が共に発現していることが示された。5)酵母two-hybrid系により、UNC-14の中央部分(アミノ酸残基200-383)がUNC-51のC末部分(455-856)と相互作用し、後者は同じもの同士で結合する(オリゴマーを形成する)ことが示唆された。UNC-14及びUNC-51とGSTまたはMBPとの融合タンパクを大腸菌で発現させ、試験管内の結合実験により、これらを確認した。6)手持ちのunc-14変異は全てN末近くのナンセンス変異であり、これらにおいてはりunc-14遺伝子の機能が完全に失われていると考えられるが、それらの表現型(Unc)は、標準的なunc-51変異のそれよりも弱い。上記のin vitro系及び酵母two-hybrid系でUNC-51のキナーゼドメインは、UNC-14との結合には必須ではない。また、unc-51変異株にunc-14遺伝子を導入しても、相補は見られなかった。これらの結果から、UNC-14はUNC-51キナーゼの基質ではなく、この機能を助けるpositive regulatorとして働いていると考えている。
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