研究概要 |
アフリカツメガエル由来のヌクレオプラスミンを核蛋白質輸送に関するマーカーとし、出芽酵母から核輸送に関する温度感受性変異株のスクリーニングを行った。その結果NUP133と共同し核輸送を阻害する新規変異株SNO1を得た。nup133やsno1単独変異株では核輸送の阻害は殆ど認められないが、両者の2重変異株では核への輸送が著しく阻害される。またNUP133遺伝子破壊株とsno1変異株はどちらも30℃では正常に増殖するのに対し、その2重変異株は30℃では増殖できない。これらのことから、NUP133とSNO1の遺伝学的関連性が示唆されたので、SNO1遺伝子のクローニングを行った。SNO1は336個のアミノ酸からなる全く新規の遺伝子で、既存の蛋白とのホモロジーは現在までのところ見つかっていない。また遺伝子ノックアウトの結果から、生育に必須の遺伝子であることが明らかとなった。また、核の構造や機能を理解する目的で、GFP-ヌクレオプラスミンの融合蛋白を核蛋白マーカーとし、核形態異常を示す変異株のスクリーニングを行い、核の断片化を起こす高温感受性変異株、anu1とanu2を取得した。ANU1,ANU2とも新規遺伝子であり、少なくともANU1遺伝子は増殖にとり必須な遺伝子であった。ANU1にはホモログが存在しており、ヒトにもホモログがあることから細胞の生育にとり重要な役割をになっていると考えられる。現在これらの変異株の生理機能の解析を進めている。
|