研究概要 |
我々は出芽酵母SGSI遺伝子破壊二倍体株で胞子形成能の低下及び減数分裂時のDNA組み換え能の低下した現象をもとに本研究を進めている。また出芽酵母SGSlはDNAトポイソメラーゼIIIとも相互作用することから、酵母トボIIIについても平行して解析した。 1)SGSlのDNAヘリカーゼ活性が出芽酵母の減少分裂に必須の役割を果たしているか調べるため、SGSl遺伝子破壊株がメチルメタンスルホン酸エステルの感受性があることを利用して変異SGSl遺伝子を作製した。具体的にはSgslのヘリカーゼモチーフのミスセンス変異を導入したメチルメタンスホン酸エステル感受性になった変異ヘリカーゼ遺伝子を選択できた。現在これらの変異SGSl遺伝子がSGSl遺伝子破壊株の低い胞子形成能を相補できるかテスト中である。 2)出芽酵母SGSl遺伝子は胞子形成の際、転写レベルで誘導されることを見出した。つまり減数分裂の際、Rad51, 52蛋白と同様に誘導される酸素群の一員であった。 3)出芽酵母SGSl蛋白質の遺伝子工学的産生に成功した。得られた蛋白質をもとに生化学的解析を開始するとともに、抗原としても利用しウサギポリクローナル抗体を得た。この抗体を用いてSgslの蛋白レベルでの発現を検討中である。 4)出芽酵母トポIII変異株はその強いミュウテーター活性及び遅い増殖能のため、トポIIIの欠損が減数分裂で働いているか否かの判定は極めてむずかしい。そこで我々は条件によってトポIIIが欠損するような酵母二倍体をほぼ作製した。
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