研究概要 |
昨年に引き続き、窒素枯渇条件により減数分裂を誘導する転写カスケードに載っている遺伝子(meu)の包括的クローニングを継続し、最終的に高品質の差分化cDNAライブラリーを作製することに成功した。その品質は180万クローンの独立クローンから成るcDNAライブラリー(平均鎖長1.5-kb)をスタートとして、1万2千クローンから成る1次差分化cDNAライブラリー(平均鎖長1.4-kb)を作製できた。このうちランダムに選んだ64クローンについてノーザンブロットを行い、減数分裂特異的な転写誘導を検定したところ、53クローンが転写誘導を受けていたことが分かった。それらを以下の3種類に分類した。(1)Type I:Ohr(減数分裂誘導前)では全く発現されていないもので真に減数分裂特異的発現がなされるも(9クローン)。(2)Type II:Ohrでも少しではあるが発現がみられるもの。減数分裂以外でも何らかの役割を果たしている可能性がある(37クローン)。(3)Type III:ノーザンブロットにおいて二本以上のバンドが見られ、そのうち一つのみがmeu遺伝子としての挙動を示すもの(7クローン)。これらクローンの塩基配列を決定したところ数個の既知遺伝子が同定された以外は殆どが新規遺伝子であった。一方、これらの転写誘導が既知の転写因子であるStell,Mei4の支配下にあるかどうかを調べるため、stell,mei4破壊株においてノーザンブロットを行ったところ、すべてのType I meuでstell破壊株において転写誘導が消滅し、そのうち4つのmeuではmei4破壊株においても転写誘導が消滅していた。また残りのType I meuではmei4破壊株において転写誘導が数時間も後方にずれていた。現在残りのmeuについて大がかりな解析を開始している。
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