研究概要 |
鱗翅目昆虫は幼虫期に精巣を発達させるものが多く、細胞分裂周期とその分化がどのように幼虫期のホルモンと関連して発達するかはまだあまりわかっていない。また鱗翅目幼虫に寄生する内部寄生バチは、寄生時に寄主体内に注入するポリドナウイルスと毒液によって直接寄主の精巣を退化させる。これらのことを利用しながら、精巣の発育過程における細胞分裂がどのようにホルモンと関連しているかを明らかにしていく。 1。寄生されるステージによって、精巣内の細胞の壊れ方が違うことがわかった。特に寄主が終齢になると、寄生されてもかなりの精細胞が精巣にまで変態できることが、フローサイトメトリーとパラフィン切片から確かめられた。 2。フローサイトメトリーの結果から、終齢の0日目からそれまでのステージで止まっていた分裂が動き出すことがわかった。 3。幼若ホルモン類縁体(JHA,50ng/larva)を終前齢に塗布すると終齢のおける精巣の急激な成長は起こらなかった。 以上の結果から、JH値が低くなるとG_2/M blockがはずれ、ポリドナウイルスによる制御は、細胞分裂周期のG_2/M blockがはずれたものには及ばないことが示唆された。 4。精巣のcDNAライブラリーを作成し、その中で4kbp前後のものの一部のシークエンスを行ったが、既知のシークエンスにはホモロジーの高いものは見いだせなかった。引き続きクローンのシークエンスを行っている。
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