DREFのN-末DNA結合ドメイン(残基番号16-105の90残基)、DREF(105)、を試料として構造研究を行った。このドメインを含むGST融合蛋白質の大腸菌での発現系(愛知県がんセンター研究所・松影昭夫、広瀬富美子両博士より)を用いて、培養温度、誘導時期等の検討を行い発現の効率化を計るとともに、トロンビンによるGST部分の切り落とし条件等を含む蛋白質の精製方法、及びGSTとの融合蛋白質の精製方法を検討した。得られた精製試料の動的光散乱とゲル濾過法(FPLC、Superrose12HR)の両実験より、溶液中での会合状態を調べた。更に、円偏光二色性(CD)スペクトルより二次構造含量の見積もりと、3D-1Dプロファイル法による立体構造の予測を行った。DNA結合ドメインは菌体1g当たり精製蛋白質1mgを、また、GSTとの融合蛋白質、GST-DREF(105)、は菌体1g当たり精製蛋白質2mgを得ることができるようになった。動的光散乱とゲル濾過法の両実験より、これが二量体を形成していることが示され、DNA結合ドメインに二量体形成に関与する部分が存在することがわかった。円偏光二色性(CD)スペクトルより、二次構造としてはベータ-鎖に富んでいることが示唆され、3D-1Dプロファイル法による立体構造の予測によるベータ-サンドウィッチ構造をもっている蛋白質と構造類似性が高いという結果とも一致した。これは既に結晶構造解析されているパピローマウイルスE2、また最近構造決定されたエプシュタイン・バ-ウイルスEBNAIと類似していることを示唆している。動的光散乱からDREF(105)溶液は単分散系であることが明らかになっており、結晶化の可能性が示唆された。実際、透析法を用いて微小結晶が得られており、現在その成長を試みている。また、GST-DREF(105)では構造解析に適した良質の結晶が得られたので、分解能2.5Åの回析データを収集した。現在、構造解析を行っている。また、GSTとの融合蛋白質にすることにより、結晶性が飛躍的に改善されたので、そのメカニズムと融合蛋白質の結晶化への応用について現在検討している。
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