塩坂(代表者)は平成8年度内にカイニン酸実験モデルにおいてプロテアーゼが神経の細胞死及び海馬機能にどのように関与するかを観察した。同時にニューロプシンノックアウトマウスとプラスミノーゲンアクチベータ-(PA)ノックアウト動物においてこれらの機能的に類似した蛋白質の比較することを目的として研究を開始した。海馬にカイニン酸投与し誘導される神経細胞死について検討するため、ストリックランドらはPA遺伝子ノックアウト動物をもちいて神経細胞死にPAを介していることを明らかとしている。本研究において我々はPAノックアウト動物におけるニューロプシン遺伝子の脳内分布をin situハイブリダイゼーション法を用いて検討した。その結果、ノックアウト動物においてニューロプシン遺伝子がup regulateされ、これらが何らかの機能相関する可能性を示唆した。また、海馬CA1錐体細胞においてニューロプシンは長期増強の程度を調節する因子であることを明らかとした。一方、PAは長長期増強の調節を行っていることをFreiらが示している。従って、ニューロプシンとPAはそれぞれ機能分担をしつつ、海馬機能の調整を行うものと推察される。現在ニューロプシンノックアウト動物を作製中であり、これが完成した際にはこの動物においてPA遺伝子発現を検討し、さらにカイニン酸投与時における細胞死についても検討する予定である。
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