研究課題/領域番号 |
08279217
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
岩田 彰 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10093098)
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研究分担者 |
黒柳 奨 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10283475)
松尾 啓志 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (00219396)
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キーワード | ニューラルネットワーク / パルスニューロンモデル / 聴覚神経系 / 神経細胞 / 音源定位 / 両耳間時間差 |
研究概要 |
我々は生体の神経細胞モデルの動作を模擬した、パルスを伝達情報として用いるニューロンモデル(パルスニューロンモデル:以下PNM)を用い、生理学上の知見に基づいた聴覚神経回路モデルを構築する事で人間の複雑な音源方向知覚機構を実現する事を目的としている。本研究においては、すでにこれまでの成果として、両耳からの信号に相当する2信号を各周波数帯ごとのパルス列に変換してPNMから構成される特徴量検出モデルに入力する事で、2信号間の時間差(ITD)と音圧差(ILD)を、ある特定のPNMの発火としてそれぞれ独立に検出するモデルが構築されている。しかしこのモデルにおいて、ITD検出モデルの出力発火パターンは入力信号の音圧情報に起因するバイアス成分が大きく、ITDを示す特徴パターンの成分が相対的に小さいという問題があった。また、同様の理由により入力信号の音圧の絶対量が変化した時に、本来入力信号の音圧には無相関であるべきITD検出モデルの出力が音圧情報に比例して変化してしまうと言う問題も生じていた。そこで、今回我々はITD検出モデルの前段に入力パルス列中の位相情報だけを選択的に通す、一種のフィルタの役目を果たすニューロン層を設置する事で、ITD検出モデルの出力精度を向上させることをこころみた。このニューロンフィルタ層を加えたモデルにおいて2入力信号間のITDを検出するシミュレーションをコンピュータ上で行ったところ、ITD検出モデルの出力パターンから入力信号の音圧に起因するバイアス成分を取り除く事ができ、入力信号の音圧の絶対量が変化した場合にも出力パターンが不変である事が示された。
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