人がコップをつかんで水を飲むとき、周囲から対象物を見つけだす「認知機構」、対象物まで手を伸ばす「視覚的到達運動」、把持するための手の形状の事前に生成する「プリシェ-ピング(Preshaping)」、対象物を安定につかんで操作する「安定把持・操作」のそれぞれの問題が解決されなければならない。そこで、これらの認知・運動制御機構を解明するために、認知・運動学習モデルの構築、両手協調動作における手先インピーダンスの推定、筋電図から腕姿勢の推定に関する研究を行った。まず、認知系と運動系の情報処理機構を統一的に説明するするための認知・運動学習スキームを提案し、対象物の視覚情報から安定把持を考慮した手の形を生成するモデルを構築し、計算機シミュレーションによりその有効性を検証した。さらに、両手で対象物を操作しているときの手先インピーダンス調節機構を明らかにするために操作中の手先インピーダンスを計測し、両手協調動作における手先インピーダンス調節を明らかにした。また、腕の筋電図から腕姿勢を推定するために、新しい特徴量である筋電信号の伝搬時間差を用いた推定手法を提案し、その有効性を確認した。
|