本研究は、マラリア感染防御に関わる免疫機構を解析し、防御免疫能を高めるための免疫制御の方法を検索することを目標としている。今年度は、マラリアのマウスモデルとして脇らが作製した自然治癒する弱毒株P.berghei XATを用い、マラリアの感染防御におけるIL-12の役割について検討した。P.berghei XAT感染赤血球をCBA/Jマウスに投与すると、Parasitemiaの増悪後原虫は血中から除去されるが、この時Splenectomyを施したマウスに同様に投与するとParasitemiaが増悪し続け原虫を除去できず死亡した。従って以後感染防御にかかわる臓器として脾臓を中心に検討を行った。まずXATの感染により脾臓においてIL-12p40及びIFN-γ mRNA発現が誘導され、抗IL-12抗体の投与によりIFN-γ産生が著名に抑えられ感染防御能が低下しParasitemiaが増悪し死亡したことから、IL-12産生を介したIFN-γ産生増強が防御免疫に重要であることが明かとなった。次に、IL-12投与による感染防御能を調べると、IFN-γ産生を増強し顕著なParasitemiaの抑制が観察された。さらに、その1ヶ月後強毒株P.berghei NK65感染赤血球を投与すると、XAT単独でも100%の生存率が得られたが、IL-12との併用によりさらにParasitemiaの軽減が観察され、IL-12によるXATのワクチン作用の増強が見られた。以上のように、XATの感染赤血球投与による感染においてIL-12産生を介したIFN-γ産生がマラリア感染防御に強く働いていることが明かとなった。
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