研究課題/領域番号 |
08282102
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高津 聖志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107055)
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研究分担者 |
塚田 聡 大阪大学, 医学部, 助手 (60273637)
小池 隆夫 北海道大学, 医学部, 教授 (80146795)
山本 一彦 東京大学, 医学部, 教授 (80191394)
須田 貴司 金沢大学, がん研究所, 教授 (70250090)
宮崎 純一 大阪大学, 医学部, 教授 (10200156)
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キーワード | 免疫病 / 原発性免疫不全症 / 自己免疫疾患 / 慢性炎症 / 免疫寛容の破綻 / サイトカイン / チロシンキナーゼ / 粘膜免疫 |
研究概要 |
本研究は、免疫応答をするために発症する、免疫病の分子機構を明らかにしその修復法を開発することを研究目的としている。研究目的の達成のため、自己免疫疾患に関与する自己抗原の同定、自己反応細胞や炎症細胞の増殖因子、サイトカインシグナル伝達異常と免疫異常、粘膜免疫とワクチン開発などのテーマに関し、多面的にかつ緊密な連携のもとに研究を推進するように計画を設定した。 研究は、当初の計画に基づき順調に進んでおり、興味ある成果が得られつつある。(1)粘膜におけるIgA産生にIL-5とそのレセプター系が重要であることを、IL-5レセプター遺伝子破壊マウスを用いて初めて明らかにした。また、IL-5が免疫グロブリン重鎮のクラス返還を惹起することを、CD38刺激マウスB細胞を用いて、初めて証明した。(2)日本人XLA患者におけるBtkの細胞内発現を、抗ヒトBtkモノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリー法により解析し、この方法によりXLA患者の診断が可能であり、その精度は98%以上で、約85%の母体で保因者診断が可能であることを初めて示した。(3)自己免疫発症の背景遺伝子に関し、I型糖尿病のモデルマウスであるNODマウスに免疫機能分子の遺伝子を導入して解析した。その結果、MHCクラスIIAβの第56番目と57番目のアミノ酸(ProとAsp)のコードンをHis,Serに変えれば糖尿病が抑制できること、IL-12の遺伝子やvIL-10遺伝子を導入すると、膵臓炎や糖尿病の発症が抑制できることを示した。(4)細胞のアポトーシスに関与する膜型のFasリガンドを遺伝子導入した細胞をマウスの腹腔に移植すると、腹腔内への好中球の浸潤を促すことを初めて示した。そのメカニズムは、Fasリガンドが腹腔浸出細胞に作用してIL-1βの産生を促し、それが好中球の浸潤を促す結果であることを証明した。
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