研究課題/領域番号 |
08282103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
湊 長博 京都大学, 医学研究科, 教授 (40137716)
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研究分担者 |
烏山 一 東京都臨床医学総合研究所, 室長 (60195013)
谷口 克 千葉大学, 医学部, 教授 (80110310)
桂 義元 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (90027095)
坂口 薫雄 熊本大学, 医学部, 教授 (70192086)
斎藤 隆 千葉大学, 医学部, 教授 (50205655)
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キーワード | アナ-ジ- / 低分子量G蛋白 / Rap1 / Ras / クローン増巾 / GTPase活性化蛋白 |
研究概要 |
すでにリンパ球の抗原誘導性増殖応答に関連する新規遺伝子(Spa-1)を単離し、その一次構造や発現様式にちいて報告してきた。本年度の研究により、精製された分子量130kDのSpa-1蛋白が、in vitroで低分子量G蛋白Rap1に対して強く特異的なGTPase活性化能(GAP)を有することが明らかとなった。さらに遺伝子導入実験により、Spa-1はRap1のGTP/GDP交換因子(CG3)によるRap1の活性化(GTP化)を完全に抑制することが示され、細胞内においてRap1のNegative Regulatorとして機能することも明らかとなった。Spa-1蛋白は、正常のリンパ球にほぼ選択的に発現されることがすでにわかっているが、T細胞ハイヴリド-マを用いた解析から、抗原レセプターを介する刺激によって同細胞が細胞増殖を停止するに伴ってSpa-1蛋白発現量は急速に抑制され、これに丁度呼応する形で細胞内の活性化(GTP結合型)Rap1が出現し蓄積されてくる。Rap1はすでにRas低分子G蛋白を介する増殖性シグナル伝達経路に抑制的に働きうることが明らかにされている上に、最近いわゆる「アナ-ジ」状態にあるT細胞においては、抗原を介するRasシグナル伝達系が不応性となっており、細胞内では逆に活性化Rap1の蓄積が認められることが報告されている。以上の点から、リンパ系に特異的に発現されるSpa-1蛋白は、Rap1の主要な不活性化因子として、リンパ球の抗原刺激を介する増殖応答の抑制において重要な役割を担っていることが示唆され、今後さらにこの点から詳細な検討を加える予定である。
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