1)出芽酵母全プロテインホスファターゼ遺伝子多重破壊株の作成と表現型解析 ゲノムの全塩基配列決定により明らかになった出芽酵母の34種の全プロテインホスファターゼ遺伝子の増殖や細胞生理における役割を明らかにするため、PCRによる効率的な遺伝子破壊法、および遺伝子破壊の効率のよい確認法を確立し、実際に単独遺伝子の破壊を開始した。 2)クロマチン構造に関与する遺伝子の破壊株における出芽酵母第6番染色体上全遺伝子の転写解析 クロマチン高次構造に関与すると考えられる遺伝子の破壊株と野生株における第6番染色体上の126個の全ての遺伝子の網羅的な転写比較解析を行うため、SIR1、SIN4、ヒストンH1遺伝子について、PCR法により遺伝子破壊株を作成した。それぞれの遺伝子の破壊変異株と野生型株から全RNAを調製し、ノザーン解析に供するフィルターの作成を開始した。 3)出芽染色体の分断と融合法の確立と動・植物由来染色体操作への展開 DNAを制限酵素や連結酵素などで切断、連結するがごとく、ゲノム(染色体)を自在に、しかも効率よく分断、融合するテクノロジーの確立を目的として、出芽酵母一倍体細胞における染色体の分断法、融合法を開発した。実際にこの方法を用いて、16本の染色体を持つ出芽酵母一倍体細胞において次々といくつかの染色体を分断し、17本〜21本の染色体を持つ今までに無い細胞を創製することができた。また、染色体の融合法については、醤油酵母Zygosaccharomyces rouxii由来のプラスミドpSR1の部位特異的組換え系を利用する方法を開発した。この方法によって15本の染色体を持つ出芽酵母一倍体細胞を初めて構築できた。
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