研究分担者 |
田中 雅文 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (10217078)
渡辺 良 国立教育研究所, 生涯学習研究部, 室長 (30141980)
鬼頭 尚子 国立教育研究所, 生涯学習研究部, 研究員 (00290859)
澤野 由紀子 国立教育研究所, 生涯学習研究部, 主任研究官 (40280515)
山本 慶裕 国立教育研究所, 生涯学習研究部, 室長 (50135646)
|
研究概要 |
本研究は,OECD加盟諸国において「万人のための生涯学習」が目標に掲げられている中,国際的比較研究として成人の学習能力に関する調査が行われている事実に着目し,日本の生涯学習政策立案においてこの種の調査の果たす役割,方法論の有効性と意義を探ることを目的とした研究である。平成9年度は,前年度に作成したOECD国際成人リテラシー調査に対応した日本語版調査票試案にもとづき,以下の作業を行った。 (1)実験調査の実施 日本語版調査票試案の妥当性を検討するため,調査票の質問項目の理解度,難易度及び調査対象者への指示事項が適切か否かを,実際に実験調査を実施して検討した。実験調査は,静岡県の県立高校及び社会教育施設において実施し,調査対象者を15〜30歳,31〜49歳,50〜77歳の3階層とし,男女240人についてデータを収集した。また調査終了後,調査対象者全員に,調査内容・方法についての感想を尋ねるためのアンケート調査を行うとともに,各年齢層から男女各1名(計7名)に,インタビューを実施した。 (2)日本語版調査票試案の検討まとめ 上記の実験調査の結果から,日本における調査の可能性と課題を抽出し,その結果を報告書にまとめた。日本における本調査実施については,戦後の一時期に行われた類似調査を除いて全国的な成人リテラシー調査は行われたことがないことから,この種の調査により就業者と非就業者,学習を定期的に行っている人とそうでない人のリテラシーを比較することは,日本のリテラシー政策や生涯学習政策の見直しに貢献すると考えられた。その一方で,調査票は言語的・文化的に欧米文化に同調したものであり,日本独自の題材・設問を含めることが必要であることや,個別面接訪問調査による調査方法は日本の住宅事情から心理的に抵抗があること,調査費用の面においても人権費がかかりすぎることなどの問題点が明らかになった。 また,上記について検討するため,国立教育研究所において3回の会議を開催した。
|