研究課題
基盤研究(A)
奥州藤原文化は、近年の発掘調査や研究の進展によって、その質的水準の高さが明らかにされ、あらためて歴史界の注目を浴びている。本研究は、これをふまえ、中尊寺所蔵文化財を精査するとともに、奥州藤原文化圏(平泉を中心とする陸奥、出羽、常陸の北辺を含む地域。現在の東北六県と茨城県北部)に視野を広げ、各地に遺る主として12世紀の美術工芸品を総合的に調査することにより、あらためて奥州藤原時代美術文化の影響範囲やその性格、同時期の京都を中心とする院政期文化とのかかわりなど、多角的な面からその実質を明らかにしようとするものである。初年度となる平成8年度は、以下の作品について調査を実施した。1、彫刻(1)全良寺所蔵 重要文化財・銅造阿弥陀如来坐像1躯(2)道川神社所蔵 木造毘沙門天立像1躯/木造不道明王立像1躯/木造愛染明王坐像1躯/木造金剛夜叉坐像1躯(3)小沼神社所蔵 木造十一面観音菩薩立像1躯/木造聖観音菩薩立像1躯(4)慈恩寺所蔵 重要文化財・木造阿弥陀如来坐像1躯/木造文殊菩薩座像1躯-木造普賢菩薩坐像1躯 ほか(5)中尊寺大長寿院所蔵 阿弥陀如来坐像1躯2、絵画・書跡(1)中尊寺大長寿院所蔵 重要文化財・紺紙著色金光明最勝王経金字宝塔曼茶羅図第1、4、10幀計3幀3、工芸(1)中尊寺大長寿院所蔵 国宝・螺鈿八角須弥壇1基(2)中尊寺地蔵院所蔵 国宝・孔雀文馨(建長二年正月日施入在銘)1面(3)中尊寺金色院所蔵 国宝・中尊寺金色堂堂内具の内木造天蓋1面/螺鈿平塵案2基/馨架1基(附 孔雀文馨1面)/金銅幡頭1面/金銅華鬘1面ほか