研究課題/領域番号 |
08301006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河内 十郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30083710)
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研究分担者 |
大六 一志 武蔵野女子大学, 文学部, 講師 (10251323)
丹野 義彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60179926)
望月 登志子 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (70060671)
鳥居 修晃 聖心女子大学, 文学部, 教授 (50015012)
鹿取 廣人 帝京大学, 文学部, 教授 (80012300)
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キーワード | 側頭葉型Pick病 / 伝導失行 / 脳染無形成症 / 楽譜に選択的な失書 / 街並失認 / 道順障害 / 自閉症児 / 心の理論の発達遅滞 |
研究概要 |
1. 脳損傷者班は、従来、語の意味記憶の喪失にあたる語義失語や物品に関する意味記憶の喪失が起こるとされている側頭葉型Pick病患者3例を詳細に検討し、行為に関する意味記憶の喪失が起こる場合があることを明らかにした。また、他動詞的な熟練行為の模倣の選択的障害にあたる「伝導失行」患者が、新規の姿態模倣にも障害を起こすことから、この基底には身体部位に関する情報処理の障害があることを明らかにした。さらに、脳梁無形成症が示す視空間課題の障害が、前交連の視空間情報の転送効率の低さから説明できること、右後大脳動脈流域の梗塞によって、他の属性に関する視覚性失認を伴わない純粋な街並失認と道順障害が起こること、左上頭頂小葉病変によって楽譜に限定した失書が起こること、言語機能がほぼ完全に喪失した重度の全失語でも、数詞の理解と表出、計算が良好に保たれる場合があることなど、多数の新しい知見を明らかにした。 2. 開眼受術者・弱視者班は、前年度の検討をさらにに進め、開眼手術後に立体視が成立するまでの過程の詳細を確認した。 3. 発達遅滞班は、言語を全く持たなかった自閉症児に対する縦断的の訓練結果から、持続的に提示することができる文字言語を用いることによって、言語を形成が可能なことを明らかにした。また、誤信念課題に正答できず、心の理論の発達に遅れがみられた発達遅滞児に対して、単純な状況設定の課題から見ることと知ることの関係を訓練していくことによって、心の理論の発達を促進することができることを明らかにした。
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