研究分担者 |
高田 滋 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50137478)
柄沢 行雄 常磐大学, 人間科学部, 教授 (70161255)
大内 雅利 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60147915)
黒柳 春夫 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (80097691)
山本 英治 東京女子大学, 文化学部, 教授 (50086261)
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研究概要 |
今年度は3回の現地調査を実施した。その方法視点ならびに成果は次の通りである。 1) 沖縄ヤンバル地域の社会文化変動を,効率性と利潤を追求する行政と資本が形成するシステム世界と,(2)住民のコミュニケーション行為が形成する意味的世界としての生活世界と,(3)両者の関係性の中に形成される公共世界の,三者の連関構造の変動理解を通して研究した。 2) システム世界の理解の2局面。(1)日米安保体制による国際的・国家的システムによって配置される米軍基地の存在と,行政・政治の関係構造を明らかにするための資料収集と分析。(2)県民の生活世界を反映しつつ国際的全国的システムに組み入れられた県の行政と経済のシステム理解のための資料収集と分析。(3)ヤンバル地域ならびに名護市,さらには集落・行政区のシステム理解のための資料収集と分析,地域末端にいたるほど,生活世界との調整を求められるシステムの多重性理解に努めた。 3) 生活世界は,名護市全域15地区の集落-字-行政区-シマのミクロ調査によって,自治,祭祀,家族生活,社会・生活問題に焦点を合わせて理解しようとした。システム世界が生活世界を侵食し,伝統的生活世界を合理化しつつあるが,後者は,なお協力な共同性をもって存続するという沖縄ヤンバル地域の特性を保持している。 4) 公共世界は2つの側面から理解しようとした。(1)名護市の地域計画において,住民合意と正統性を確保していると主張される公共性としての政策目的と手法の理解。(2)日米合意に基づいて建設を予定された海上ヘリ基地をめぐる住民運動の生活世界の分析からの理解と,そこに形成された新たな公共世界の分析。基地・自然環境保全・経済振興の三つの地域課題をめぐって,地域性をこえた新たな公共的領域が形成され,合意獲得のための論争と行為が展開された。しかし,なお,伝統的,地域的なシマ-字-区の社会と生活を基礎にした意味的世界は変容しつつも,広域的な意味世界と併存し両者は重層構造をもって存在している。
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