研究課題
基盤研究(B)
近年、わが国では少子化現象等の進行に伴い、小・中学校、高校の児童生徒数の大幅な減少のため、新規教員の採用数が激減している。その結果、大都市部を中心に学校では若い教員の深刻な不足、教員の年齢構成の極端なアンバランスなどの事態がひろがり、学校運営や教育活動に多大の支障が生じている。そこで、本研究では、この問題を実証的に解明するため、首都圏・関東の5都県(茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川)別に研究班を組織し、それぞれが独自に統計分析、アンケート調査、ヒアリング調査、観察調査などを行い、その都度、研究総会で報告し、討議を重ねた。本研究で得られた知見の概要は以下の通りであり、研究成果は報告書『教員の年齢構成と教職活動・教育効果に関する調査研究』(1999年3月)に集約し、刊行した。第1は、総じて、首都圏では数年にわたる教員採用激減の結果、教員の年齢構成が極端にアンバランスな学校は広範に広がっており、若い教員に対する学校現場の要求度、必要度がきわめて高いことが明らかにされた。また、若い教員に関する評価は概して良好である。第2は、若い教員の不足が、50代のベテラン教員の早期退職による若い教員の採用促進という傾向を強め、その結果、20代と50代の教員が不足し、特に40代教員が肥大化するという事態の悪化に拍車をかけている。第3は、同じ首都圏でも、大都市部と新興住宅地、郡部との地域格差が大きく、大都市部では若い教員不足、新興住宅地では若い教員が多いという傾向が顕著であり、教員配置・転任人事における広域的調整・計画の重要性が浮かびあがった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (13件)