日本の産業構造の変化と職業教育・訓練の課題と展望

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08301024
• 研究機関: 静岡大学
• 研究代表者: 木村 誠 静岡大学, 教育学部, 助教授 (90234377)
• 研究分担者: 岡田 浩一 明治大学, 経営学部, 助教授 (80233328) ; 関口 定一 中央大学, 商学部, 教授 (20138613) ; 猿田 正機 中京大学, 経営学部, 教授 (80139980) ; 田中 喜美 東京学芸大学, 大学院・連合学校教育学研究科, 教授 (00115247) ; 平沼 高 明治大学, 経営学部, 教授 (80208834)
• キーワード: 職業教育・訓練 / 職業能力開発 / 企業内教育 / 産業構造 / 労働市場 / 就業構造 / 技術者・技能者 / 職人

研究概要

平成9年度は、本研究の2年目に当たり、明確な問題意識を共有して、本格的に研究活動に取り組んだできた。まず、自動車会社、電機メーカーの工場見学を実施し、人事・教育担当者から、経営の国際化・情報化に伴う教育・訓練の変化について聴取調査(ヒアリング)を行った。(株)マツダ自動車本社(広島県安芸郡)、GAC株式会社(長野県南安曇郡)などを訪れた。自動車会社、電機メーカーともに共通していたことは、社内における技能検定の徹底によって、技能向上意識を高揚させる必要を訴えた。将来に向けての対応可能性の高い技能を日々磨いていないと対応できない職務が待っていることは予想されているという。機械メーカーとしては、マシニングセンタを製作するいわゆるマザーマシン生産に取りかかっている安田工業株式会社(岡山県浅口郡)、自動機械製作メーカーの津田駒工業株式会社(金沢市野町)において機械工業特有の技能形成の方法について実態調査をした。教育訓練施設としては、マツダ工業技術短期大学校、ニッサン・テクニカルカレッジを訪問し、カリキュラムの設定、教育訓練における諸工夫について見学としてヒアリングを行った。さらに、大企業を支える町工場の労働者の技能を探求するため、東京都大田区蒲田の機械工業関連の町工場をいくつか訪れ、蒲田民商の構成員の方々と討論会を開催した。この後、金沢職人大学校を訪問・見学した。いずれも、産業構造、技術移転、労働内容の変化にそれぞれがどのように対応しているかという観点からヒアリングを行い、本研究のスタッフによってレポートに整理されている。本年度は頻繁に労働現場に脚を向け、本研究の基盤として行うべき実態調査の基礎を遂行することができた。訪問の後、必ず毎回、研究活動が行われ、個々の具体的な課題の提出ともに職業教育・訓練の現代的緊急的問題の広がりと深さとを議論した。

研究成果

• [文献書誌] 木村 誠: "イギリス普通教育における教科:Technologyの内容編成" 技術教育研究. 51. 67-74 (1998)
• [文献書誌] 木村 誠: "子どもの情報処理的活動を支援する授業" 静岡大学教育学部附属教育実践研究指導センター紀要. 4. 87-102 (1997)
• [文献書誌] 田中 萬年: "実技・実習カリキュラムの技能論" 技能と技術. 23・4. 38-43 (1997)
• [文献書誌] 田中 萬年: "小学校の数ほど「モノづくり塾」を" 能力開発. 3 (1998)
• [文献書誌] 田中 萬年: "モノづくり学習の意味" 山形県立産業技術短期大学校紀要. 第4号. 10 (1998)
• [文献書誌] 田中 萬年: "障害者職業能力開発の変遷" 職リハネットワーク. 第40号. 4 (1998)
• [文献書誌] 田中 喜美: "技術教育研究における労働観の視野(上)" 技術教育研究. 50号. 8-15 (1997)
• [文献書誌] 田中喜美(他5名): "附属学校と大学との協同による技術科教育実習の事前事後指導" 日本教師教育学会年報. 6号. 96-113 (1997)
• [文献書誌] 田中 喜美: "「情報教育」と技術教育" 技術教育研究. 51号. 26-36 (1998)
• [文献書誌] 平沼 高: "リエンジニアリング下の労務管理と労働の変化" 技術教育研究. 50号. 1-7 (1997)
• [文献書誌] 関口 定一: "GE SchecectadyにおけるWork Councilの形成と定着" 商学論纂. 39巻3・4. 16 (1998)
• [文献書誌] 平沼 高(共著): "「日本的経営」の展開と労資関係" 新日出版, 20 (1998)
• [文献書誌] 岡田浩一 他 企業集団研究会: "企業集団支配とコーポレート・カバナンス" 分眞堂, 261 (1998)