研究課題/領域番号 |
08301028
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研究機関 | 国立教育研究所 |
研究代表者 |
喜多村 和之 国立教育研究所, 教育政策研究部, 部長 (30034664)
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研究分担者 |
沖 清豪 国立教育研究所, 教育政策研究部, 研究員 (70267433)
渡部 宗助 国立教育研究所, 教育政策研究部, 室長 (40034665)
貝塚 茂樹 国立教育研究所, 教育政策研究部, 研究員 (20251001)
橋本 昭彦 国立教育研究所, 教育政策研究部, 主任研究官 (80189480)
塚原 修一 国立教育研究所, 教育政策研究部, 室長 (00155334)
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キーワード | 高等教育 / 大学 / 政策 / 評価 / 高等教育政策 / 未来予測 |
研究概要 |
本研究の目的は、1980年代の臨時教育審議会、90年代の大学審議会によって進められてきた日本の高等教育政策を分析・評価して、残された問題や当面する政策課題を明らかにすることにある。本年度では、「高等教育政策に関する有識者調査」を実施し、分析した。この調査では約10年後(2010年頃)のさまざまな状況について質問項目を作成し、調査対象は、国内の大学の学部長(1,132名)と、高等教育に関心の深い有識者(582名)である。調査は郵送法によって平成9年の7月に実施し、全体の回収率は71%に達した。 (1)18歳人口の減少によって大学は今よりも「広い門」となり、希望者全員入学まではいかないが進学率は現状より高くなる。(68%。)こと、その影響は一部の大学だけでなく大学全体に及び(62%)、なかにはつぶれる学校もかなり出るであろう(49%)という点で回答者の意見はおおむね一致していた。(2)これからの学生確保の方法(複数回答)については意見が分かれ、学部長は高校新卒者の確保(75%)と大学院の拡充(51%)を重視し、有識者は社会人学生受け入れ(74%)を重視していた。(3)約10年後にどのような特色をもつ大学が増えると思うかについては、カリキュラムや教授法の改善に力を入れる大学がかなり増える(64%)、メディアや情報通信技術を利用して教育活動を効率化する大学がかなりかなり増える(46%)、などとする回答が多く、次いで、社会人の入学や教育に力を入れる大学がかなり増える(34%)とみなされていた。 (4)今後は、大学院における研究者養成や研究開発がいっそう重視されるという項目に、かなりそう思うと回答した人がやや多かった(23%)。(5)外国との共同研究がこれまで以上に普及すると強く思う(30%)、政府や産業界との研究協力が頻繁に行われると強く思う(24%)などと回答した人が比較的多かった。また、近年の政策が学術研究活動に及ぼす影響については、大学院の拡大・重点化が学術研究を促進する要因となるという回答(60%)や、学術研究の成果に対する評価制度の導入が学術研究を促進するという回答(53%)が多かった。(6)今後の高等教育費の負担については、政府負担を増やすべきたという回答(53%)と、産業界などの民間負担を増やすべきだとする回答(24%)が多かった。今後は、大学経営が困難な時代を迎えて経費の見直しがますます行われると強く思う(36%)、資源配分の効率化の尺度として教育・研究の評価がいっそうきびしく実施されると強く思う(33%)などと回答した人が多い。前者(見直し)に強く賛成する意見は国立大学(28%)よりも公立・私立大学(40%)に多く、後者(評価)に強く賛成する意見は文科系(28%)よりも理科系(42%)に多かった。詳細な分析結果は次年度に発表する予定である。
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