研究課題/領域番号 |
08301035
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 総合 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
礪波 護 京都大学, 文学研究科, 教授 (10027534)
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研究分担者 |
井上 裕正 奈良女子大学, 文学部, 教授 (90127481)
植松 正 京都女子大学, 文学部, 教授 (10036030)
杉山 正明 京都大学, 文学研究科, 教授 (00127094)
夫馬 進 京都大学, 文学研究科, 教授 (10093303)
愛宕 元 京都大学, 総合人間学部, 教授 (70027548)
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キーワード | 中国 / 都市管理 / 都城 / 長安 / 洛陽 / 揚州 / 上海 / 慈善事業 |
研究概要 |
本研究は、中国歴代の王朝において、国都を始めとする都城の造営計画と造営過程のみならず、造営後の都市管理の問題にも焦点をあわせて、城郭・街区・関津などの空間の管理、生産・流通の統制、犯罪・訴訟の処理、宗教・文化に対する監視、消費・慈善活動などの生活面の規制ないし自主管理の諸相を、3年間にわたって明らかにせんとして発足した。その際に政治権力に対する都市住民の抵抗といった単純素朴な視点ではなく、都市に張り巡らされる権力関係の網目を解きほぐすことを課題としている。 初年度分として配分を受けた補助金の使途のうち、設備備品としては、全60冊からなる『中国美術全集』を始めとする美術と文物関係の書籍を重点的に購入した。歴代王朝における都市管理の研究を推進する上で、文献資料とともに、絵画などの美術作品に描かれた風物や出土文物を丁寧に検討せねばならないのに、高値であるため、これまでは手近に利用できる形で所蔵されていなかっただけに、有り難いことであった。これらの美術資料と文物関係の書籍を最大限に活用した成果が、研究代表者の礪波が公刊した「両晋時代から大唐世界帝国へ」であって、唐代の国都長安と副都洛陽がいずれも宗教都市であったという見解を披瀝している。 研究分担者のうち、愛宕は『唐代地域社会史研究』を上梓して、長安と洛陽あるいは太原城といった華北の大都市ばかりでなく、揚州をはじめとする華中・華南の州県城の規模と構造について綿密な考察を行ったし、夫馬は『中国善会善堂史研究』を公刊し、明清時代の北京や上海などの大都市における当局と民間の双方による慈善事業の消長について詳細な資料を提示した。ほかの分担者も、それぞれ実施計画に沿って研究を行っており、活字化するまでにいたっていない場合も、来年度以降において、報告する予定である。
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