研究課題/領域番号 |
08302002
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
永井 憲一 法政大学, 法学部, 教授 (20062789)
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研究分担者 |
矢吹 芳洋 専修大学, 経済学部, 助教授 (40245949)
広沢 明 育英短期大学, 教授 (20208870)
野村 武司 山梨学院大学, 法学部, 助教授 (00228363)
喜多 明人 早稲田大学, 文学部, 教授 (70147932)
荒牧 重人 山梨学院大学, 法学部, 助教授 (40232053)
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キーワード | 子ども(児童)の権利条約 / 自治体 / 子どもの権利条例 / 子どもの権利オンブズパーソン / 子どもの参加 |
研究概要 |
自治体における子ども(児童)の権利条約の実施は単なる広報・普及の段階を越えて、子どもの権利を保障するための制度づくりへと動き出しはじめている。今年度は東京都中野区、兵庫県川西市、神奈川県川崎市などの取り組みを中心に、子どもの権利保障のための条例や制度のあり方について研究をすすめた。 中野区は、1997年に「中野区教育行政における区民参加に関する条例」を制定し、区民参加の原則や仕組みを確認した上で、子どもの権利条約の基本原則の一つである子どもの意見表明と参加の機会を保障する。また、中野区は、国連・子どもの権利委員会が国レベルで設置を要請していた「子ども施策推進担当課」を新たに設け、施策の調整と推進を図ろうとしている。川西市は、地域の子どもの権利をまもり不断に確立していくシステムとして「子どもの人権オンブズパーソン条例」を準備している。そこでは、子どもの人権を尊重することの原則的な意味を確認し、オンブズパーソンの独立・中立の確保、調査・勧告等の権限の実質化、あるいは制度の有効活用の工夫や配慮などをしている(1998年中には制定の見込み)。子どもの権利条約の普及や子どもの意見表明・参加の点で先進的な取り組みをしている川崎市においても、その成果を基礎にして、総合的な「子どもの権利条例」の制定に向けて動きはじめている。川崎市は、条例の内容面として、子どもの権利条約の普及、子ども施策の推進、そのための組織、子どもの権利の救済などを盛り込むことを検討するとともに、制定過程を重視し、子どもを含む市民参加のあり方を模索している。 以上の他にも、例えば東京都杉並区では、児童青少年センター(ゆう杉並)の建設にあたって、中高生検討委員会を公募で設置するとともに、アンケート調査などにより、子どもの意見の反映につとめた。このように、権利主体としての子どもの意見表明・参加を具体的にすすめている自治体が少しずつではあるが、現れてきている。 また今年度は、国連・子どもの権利委員会で日本政府報告書が審査されることに向けて、市民・NGOレポートも提出され、条約の実施状況の市民・NGOレベルの検証がすすんだ。国際機関・各国の比較研究とあわせて、それらを分析することにより、日本における課題をより明確にした。
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