研究課題/領域番号 |
08302004
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原田 純孝 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (50013016)
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研究分担者 |
吉田 克己 北海道大学, 法学部, 教授 (20013021)
安本 典夫 立命館大学, 法学部, 教授 (20066723)
見上 崇洋 龍谷大学, 法学部, 教授 (50115755)
戒能 通厚 名古屋大学, 法学部, 教授 (00013011)
五十嵐 敬喜 法政大学, 法学部, 教授 (90277690)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 都市土地法 / 都市計画法 / 自治的土地利用秩序形成 / 市民的公共性 / 地方分権 / 住民参加 / 規制緩和 / 現代的土地所有権 |
研究概要 |
1.都市土地法の全体的構造の把握については、規制緩和と地方分権の動きが法システムの構造と機能をどう変え、今後の街づくりにいかなる影響を及ぼそうとしているかを重点的に検討にした。その成果の一端が「法律時報」1997年4月号98年2月号の特集であり(「研究発表」欄参照)、(1)右の動きは「自己決定」と「自己責任」の強調にもかかわらず、必ずしも「望ましい共同の都市空間の形成・整備」に向けた住民の制御権能を強化するものとなっていない、(2)都市計画権限の分権化の内容は-欧米諸国と対比すればとくに-なお限定されている一方、(3)個々の関係諸措置も当面の不動産流動化や景気対策を狙う側面が強く、歪曲された要素を伴う、(4)それ故その動きは、現に存在している「自治的」土地利用秩序形成への実態的動向を下支えするにもなお不十分である。などの点を確認した。 2.他方、歴史的観点からみれば、日本の都市土地法は今日大きな曲がり角にある。すなわち、従来の法制度は、(1)戦前期の中央集権的な法システムが大きな改正を受けることなく戦後に引き継がれたのち、(2)高度成長期の開発・土地政策の下で土地所有の独特の経済的機能を包摂しつつ「日本型」の都市土地法として形成・確立され、(3)80年代の「自己展開」の過程で土地バブルを生み出し、限界に達した。(4)そこからの脱却とより安定的な成熟期の都市形成-すなわち「住民・市民の共同の居住・生活空間の形成」-に向けた新しい社会的ルールの確立がいま求められているのである。 3.そのためには、1で触れた歪曲的要素を除去する一方、実際の「自治的」土地利用秩序形成の動向を踏まえつつ、(1)住民自治と市民自治を基礎とした都市計画権限の分権化、(2)その下での新しい「市民的公共・パブリック」の論理とその発現手法の確立、(3)土地利用に対する住民・市民の法的制御権能の強化などを実現していくことが-欧米諸国の経験からみても-必須のものとなる。
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