研究課題/領域番号 |
08302007
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
五百旗頭 真 神戸大学, 法学部, 教授 (10033747)
|
研究分担者 |
中西 寛 京都大学, 法学部, 助教授 (30237325)
田所 昌幸 防衛大学校, 教授 (10197395)
添谷 芳秀 慶応大学, 法学部, 教授 (50208922)
田中 明彦 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (30163497)
河野 康子 法政大学, 法学部, 教授 (40186630)
|
キーワード | 日本外交 / 70年代危機 / 国際関係 / 外交政策 |
研究概要 |
本研究は、70年代日本が憩うの個別ケースを実証的に検証しつつ、それを通して危機への対応や自主外交の展開、さらには外交地平の拡大や外交多重化などの諸相を分析し、70年代の国際変動に対応する日本外交を総合的に解明することを目的とした。米中接近、ドル・ショック、アジア諸国との関係の深化、デタント、サミット外交といった70年代日本の外交を大きく規定した諸問題について、2年間にわたり共同研究によって事実経緯を確定するとともに、意義付けと評価を試み、70年代日本外交の全体像を明らかにするべく努めてきた。 この様なテーマについては、専門書の他、雑誌、新聞などに評論、回想やジャーナリストによる記事は少なくないため、それらを極力収集するとともに、他方、当時活躍した政治家・完了で存命中の関係者に、系統的にヒヤリングを行ってオーラル・ヒストリーを作成し独自の情報ソースの充実をはかった。また、ワシントンDCのナショナル・セキュリティー・ア-カイブスが収集中の70年代米国公文書を活用した。内容的には、70年代の国際変動への対応の全体像を実証的に解明することを通して、第一に、福田ドクトリンや環太平洋構想に見られた日本外交の多元化の様相を、第二に、日本の自主外交の特質と問題点を「二重アイデンティティー」という新しい概念を手がかりに分析した。すなわち、対米協調を基軸とする戦後日本外交にも、独立後の50年代、ベトナム戦争後の70年代、冷戦後の90年代と三波の外向的地平の拡大期もしくは自主外交期が生じた。現代日本外交の特質をも規定する第二波の展開とその限界を明らかにすることができたと考える。その成果は、日本政治学会編『危機の日本外交-70年代』(岩波書店)に結実した。
|