研究課題/領域番号 |
08303003
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
和合 肇 新潟大学, 経済学部, 教授 (00091934)
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研究分担者 |
福重 元嗣 名古屋市立大学, 経済学部, 助教授 (10208936)
岡村 與子 富山大学, 経済学部, 助教授 (20281016)
田辺 國士 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (50000203)
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キーワード | ベイズモデル / ノン・パラメトリック密度推定 / 生産フロンティア関数 / ミクロデータ / 非効率性の分析 / 工業統計表 |
研究概要 |
本年度は、産業別の技術的な投入-産出関係を調べる生産フロンティア関数を推定する場合に、昨年度までの研究で行っていたのとは異なる方法で、観測データから推定した関数についての形状などの適切な制約を与えて、生産フロンティア関数を導き出すベイズ的なノン・パラメトリック方法を利用して、いくつかの産業を例に用いてグラフィカルに生産曲面を推定する方法を試みた。 1975年、80年、85年、90年と92年の各年度における工業統計表の個票データを、事業所毎に収集された60項目以上の調査項目の中から、産業別の生産額、付加価値額、労働、資本、原材料、消費エネルギーなどの要素に集計した。各種の記述統計量や分布などの予備的計量分析を行い、基本的なパラメトリック関数であるコブ・ダグラス型生産関数、トランスログ型生産関数、フロンティア生産関数を推定した。次に、1975年と1992年の工業統計表の電気器具製造業や精密器具製造業などをとり上げて新しい分析方法を試した。資本-労働の投入要素を30×30の2次元のメッシュに区切り、各セルでの生産量の分布をベイズ型ノンパラメトリック密度推定の方法を応用して推定した。得られる関数が滑らかになるように近隣の5つのセルを用いて平滑化することにより生産フロンティア関数を求め、グラフ表示する方法を開発した。これにより、従来単一の数値で分析されていた代替弾力性が、投入要素と生産量の規模毎に計算され、多面的な分析が可能になった。さらに各事業所毎の非効率性を、フロンティア関数面からの下方への乖離として定義すると、生産規模によって非効率性を表す分布が異なることが分かるようになる。研究成果の一部を、第65回日本統計学会、国際ベイズ統計分析学会(ISBA)、国際統計協会(ISI)で発表した。今後も残されたいくつかの分析上の問題点を検討し、上記の分析を継続予定である。
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