研究分担者 |
倉田 和浩 東京都立大学, 理学部, 助教授 (10186489)
黒田 成俊 学習院大学, 理学部, 教授 (20011463)
勘甚 裕一 金沢大学, 工学部, 教授 (50091674)
村田 實 東京工業大学, 理学部, 教授 (50087079)
猪狩 惺 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50004289)
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研究概要 |
1)リーマン多様体の境界のすべての点で楕円性が退化する特異楕円型偏微分作用に関する解析を調和解析,偏微分方程式,複素解析の三つの側面から総合的に研究した.そして,強擬凸領域やTHETA-構造を持つ多様体の境界で退化する楕円形偏微分作用素に関する調和解析の理論の基礎をつくることに成功した.また,特異楕円型偏微分作用素の調和解析を拡散過程を使って研究し,その結果,多変数正則関数の各点Fatou問題解決への十分可能性のある糸口を見出せた. 2)退化楕円型擬微分方程式の解の局所正則性について研究した.まず冪零Lie群上でもMorreyのDirichlet増大型定理が成り立つことを証明した.われわれの得た増大型定理は,ユークリッド空間の場合においてさへMorreyの定理よりも良い評価を与えれいる.さらに,冪零Lie群上の高階擬微分方程式の解のL^p-Holder型の評価式,2n+1次元強擬凸CR多様体上の〓_b方程式の解の局所正則性の研究への応用を与えた.また,現在は退化楕円型quasi-linear方程式と上述のLie群上の増大型定理を使った研究を進めている.また,冪零Lie群上の擬微分作用素の研究も進めている.これにより,さらに多くの高階の退化楕円型偏微分方程式,ならびにそれに関連した放物型,双曲型方程式の超局所的な解析がより進展するものと思われる.今後の興味深いテーマの一つである. 3)曲がった時空における電磁流体力学に現れるいくつかの非線形1階偏微分方程式系について研究を行った.まず,考える方程式が局所可解性をもつかどうかという,基本的な問題から研究をはじめた. 4)負曲率多様体上のBMO空間,VMO空間をlittlewood-Paley型測度により特徴付けた.これは,最近Jevticより与えられたBergman球上の結果の一般化になっている.この結果は現在論文を準備中である. 5)Littlewood-Paley型の測度と多変数正則Bloch関数及びTOeplitz作用素の関連を解明した.また,Bloch関数の存在に関する問題が微分幾何学的な意義を持つことを確認できた.Riemann多様体上の調和Bloch関数の研究も行った. 6)調和解析セミナーを開いた.
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