研究課題
Feynmanは彼の経路積分を導入した直後、スピンを持った量子系に対しては同様の考察が出来ないことを嘆いていた。彼はそこで例えばDirac方程式を扱うためには4元数を用いるのが良いかも知れないが、非可換性から来る困難さをどう避けるのか?と問いかけている。代表者は加算個の生成元を持つFrechet-Grassmann代数を導入し、スーパー空間を定義しそこでの微積分、実解析を展開し、それによるFeynmanの問題の解決に道を開いた。即ち、Wey1方程式を例にとり、まずスピン場をスーパー空間上の関数と同一視し、そこに現われるPauli行列をその関数に働く微分作用素と表現した。それにより、Wey1方程式は非可換だがスカラーの如く見なすことが出来るようになり、非可換の表象を定義出来る。その非可換な表象に対応する古典力学をFeynman的に量子化する事を考える。即ち、対応するHami1ton-Jacobi方程式の解の構成及び評価を計算し、それを相関数とし、また連続方程式の解の根を振幅とするFourier積分作用素を作ると良い性質を持つ近似解を構成できる。後は、藤原の用いた時間細分を極限にもって行く方法で発展作用素を構成する。これにより、時間に依存する変係数の電磁ポテンシャルを付加したWey1方程式の基本解が構成出来た事になる。この方法は極めて一般性が高く、他の多くの1階偏微分方程式系への応用が考えられている。それとは別に、物性理論におけるランダム行列理論へのスーパー解析の応用が試みられ、それの数学的正当化が次なる目標になっている。
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