研究分担者 |
田中 寅夫 京都大学, 防災研究所, 教授 (40027222)
大久保 修平 東京大学, 地震研究所, 教授 (30152078)
平原 和朗 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40165197)
藤井 直之 名古屋大学, 理学部, 教授 (60011631)
里村 幹夫 静岡大学, 理学部, 教授 (50126778)
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研究概要 |
伊東市周辺域で最近観測される群発地震活動に関し,GPS観測と合成開口レーダ干渉観測により地殻変動を,そして重力観測より重力値の時空間変動を求め,そのメカニズムを検討した.1996-1998年の3年間に伊東市周辺域では顕著な群発地震活動が合計3回にわたり観測され,それぞれの群発地震活動に対応し,10cmを超える地殻の伸張と最大20マイクロガルに達する重力値の減少が顕著に観測された. 1)群発地震時に観測される地殻変動から,そのメカニズムは伊東沖に南東-北西方向の走行をもつ開口割れ目と横づれ断層と推定される.横づれ断層はマグニチュード5を越える地震の発生に伴い地殻5kmよりも浅い部分で生じ,一方,主としてダイク貫入などによる開口断層は地殻5kmよりも深く,群発地震の震源域やその周辺域に推定された.すなわち,1枚の断層で上部では横ずれ断層を下部では開口断層の性質を主として示すと考えられる.断層モーメントは開口断層が20-30倍と圧倒的に大である. 2)群発地震時に伴って観測された重力値の時間変動は主として減少を示す.その減少量は地殻の隆起運動から計算される量よりも大きい.このことは,貫入物質がダイクのような密度大の物質ではなく,熱水のような軽い物質であることを示唆する. 3)熱水の集中・貫入により地殻変動が生じていると考えられるが,群発地震後も地殻変動は膨張した状態から収縮に転じないメカニズムの解明は今後の課題である.
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