研究分担者 |
加藤 義久 東海大学, 海洋学部, 教授 (00152752)
神田 穣太 静岡大学, 理学部, 助教授 (60202032)
中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60242880)
増澤 敏行 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (40023858)
白山 義久 京都大学, 理学部付属瀬戸臨海実験所, 教授 (60171055)
|
研究概要 |
本研究は,Sediment-Water Interface(SWI)の時空間における動態を,地質学・生物学・化学の視点から明らかにすることを目的にしている。研究は,相模湾中央部に設けた定点(35.0′N,139.22.5′E,水深1450m)における経年観測を通じて,SWIの時空間変動を観測・測定している。本年度は,平成10年2,3,4,5,8,9月に計6回,海洋観測を行った。結果は次の通りである。1)海洋表層部の自然蛍光を測定して一次生産量を推定した。平成10年の春季ブルームは3〜4月に弱く起こった。2)定点に時系列セジメントトラップを係留して,海洋表層から海底に向かう粒子束の季節変化を連続的に追跡した。トラップは海底から20mと350mとに設置した。下のトラップの沈積量は,上層トラップの約5倍であった。トラップに補足された粒子は沈降粒子とともに懸濁粒子が半分を超えている。3・4月にスパイク状にクロロフィル量が増加した。3)海洋科学技術センターの海底ステーションのビデオ映像を観察し,海底の濁りを引き続き観測した。3月末と5月初旬に濁りが現れた。4)マルチプルコアラーを用いて,表層が未撹乱な堆積物試料を6回採集した。4月に海底表層にフラッフイーレイヤーが薄く堆積した。多細胞性メイオベントスや有孔虫の量も4月から増加した。このように,新鮮な有機物沈降と同時に個体数が増加する現象は,新鮮な有機物の沈降をきっかけとして底生生物が繁殖し,その後になって個体数が増加するというモデルでは説明できない。新しいモデルの構築が必要である。 メイオベントスの個体数分布から生物生産量を求め,炭素消費量を推定した。海底直上での沈降粒子束からメイオベントスの炭素消費量から全底生生物による炭素消費量を見積もった値を引いてやると,堆積物に約100mgC/m^-2/dayの有機炭素が移行し,36〜242mgC/m^-2/dayの炭素がほかに移流することになる。
|