研究分担者 |
松田 裕之 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70190478)
幸田 正典 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (70192052)
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (90136896)
遊磨 正秀 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (80240828)
山岡 耕作 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (20200587)
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研究概要 |
代表者のこれまでの研究で、アフリカ・タンガニイカ湖の魚類群集においては全種の左右性の比率が数年周期で振動していること,その比率は食性グループ内で同調していることが分かっている.この現象の普遍性を明らかにし,種内多型が種間相互作用を通じて群集構造と生物内の多様性に及ぼす影響を解明するために,日本国内で淡水棲の固有種が最も多く,また魚類相も多様な琵琶湖の魚類群集において,左右性の比率の変動を調査した.特に,群集レベルでの左右性の動態を解明するために,滋賀県志賀町今宿を定点観測地と定め採集を行うとともに,今宿のエリで採集された過去数年分の標本を検討した.さらに,過去30年におよぶ標本の蓄積のあるイサザと,定点観測地点で採集した年級群(体長組成)の異なるブルーギルから固体群内の左右性の比率の変動を解析した. その結果、調査対象にできた8科25種の全てで左右性の存在が確認された.そして,イサザの左右性の比率は3〜4年周期で振動していることが示された.さらに,中層で遊泳生活型する数種の左右性の比率は同調して振動してることが強く示唆された.この中にが,外来種のオオクチバス,ブルーギル,そして最近琵琶湖に侵入をはたしたヌマチチブも含まれており,こうした移入種の左右性の比率も,群集レベルでの左右性のからの影響をうけて同調していると考えられた.さらにこの振動と同調が生じるのは食う・食われる関係が種内多型の少数派を頻度依存的に優遇するためであると考えられた.今後、琵琶湖の魚類群集の各魚種の左右性の比率を,生活様式,生息場所,および食う・食われる関係などと対応させながら詳しく分析することにより,群集レベルでの左右性の動態を解明してゆく計画である.
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