研究課題/領域番号 |
08304043
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 総合 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢原 徹一 九州大学, 理学部, 教授 (90158048)
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研究分担者 |
牧 雅之 福岡教育大学, 助教授 (60263985)
小林 一三 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30126057)
佐々木 顕 九州大学, 理学部, 助教授 (90211937)
粕谷 英一 九州大学, 理学部, 助教授 (00161050)
巌佐 庸 九州大学, 理学部, 教授 (70176535)
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キーワード | 有性生殖 / 性表現 / 資源分配モデル / ウイルス / 挿入変異 / 組み換え / ゲノミックインプリンティング / ゲノム間コンフリクト |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)さまざまな性表現を資源分配戦略として統一的に説明する、(2)性の適応的意義を明らかにする、(3)ゲノム間コンフリクトによる進化を解明することである。(1)について、雄花をつける場合や交配相手の数が時間変動する場合に関するモデルの開発を進め、ツユクサやオオハナウドを用いて検証した。(2)について、ヒヨドリバナ有性型・無性型に感染するウイルスの分子進化を解析し、有性集団ではホストレンジ遺伝子のアミノ酸置換数が有意に大きいことを明らかにした。この結果は、有性生殖が病原体の進化に対抗する機能を持つという仮説を支持した。また大腸菌のRecBCD経路の相同組換え機構が、制限修飾系の分離後の宿主殺しに対抗することを示した。これは、性が制限修飾系というゲノム寄生体への対抗戦略であるという仮説に一致する。またエイズウイルスの抗原進化における交差反応の効果を理論的に解析し、交差反応の幅がある閾値を越えると、病原体密度および抗原変異体集団は不連続的に進化することを明らかにした。(3)について、ハマダイコンの集団中に細胞質雄性不稔遺伝子が高い頻度で含まれることを示した。これらは塩基置換により4タイプに分類できた。ヒト・マウスなどの胚で見られるゲノムインプリンティングについて,それが遺伝子発現調節領域に働いた淘汰の必然的な結果として生じることを,2変量量的遺伝学モデルにもとづいて示した.また胚の成長にかかわる遺伝子でもインプリンティングを示さないものがあることを,構造遺伝子に生じて機能不全を起こす有害遺伝子を考慮することによって説明した.またゲノムインプリンティングを受ける新たな遺伝子Grf1を同定した。この遺伝子産物はRasを介するシグナル伝達経路において促進的に働き、コンフリクト仮説に合致していた。
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