研究分担者 |
嶋田 正和 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40178950)
横山 潤 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80272011)
秋元 信一 北海道大学, 農学部, 助手 (30175161)
酒井 聡樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90272004)
矢原 徹一 九州大学, 理学部, 教授 (90158048)
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研究概要 |
系統樹を用いた種間比較を集中的に取り組むテーマを設定して解析を進めた。合わせて,方法上の問題点についても検討した。 今年度とくに集中的にとりくんだテーマについては以下の通りである。マメ科植物とマメゾウムシの寄生植物-植食者の系の共進化については,マメ科植物利用についてマメゾウムシ各種のニッチと群集構造が明らかになった。マメ科・マメゾウムシ科の双方の分子系統樹を作成するための試料の収集も進んでいる。 トンボ類の性的二型については,形質の調査を約3分の2の種で終え,試料が得られている種での分子系統樹も作成した。両性花を着ける植物ではFisherの1対1資源投資比からメス側へと偏った資源投資がみられる。その理由について、送粉量・受粉量の確率的な変動を取り入れた資源投資モデルを開発し、進化的に安定な性投資比の予測ができるように分析を進めた。また,ユリ科植物等を用いて種間比較を行うこと準備をすすめた。 社会性進化に関する血縁選択説の難題として昨今とりあげられているアリ類の多女王制について、生活史戦略の観点から再検討し、多女王制は世代時間の短縮を伴うために、密度非依存的な個体数制御のある個体群では有利になるという結果を得た。ここからは個体群密度と単女王制の相関という検証可能な仮説が得られた。アブラムシ類に見られるコロニー防衛の進化については,構築中の系統関係を用いた予備的な検討から、兵隊アブラムシの産出は、必ずしも捕食者への適応ではなく、系統の制約による非適応現象が多いことが明らかになりつつある。
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