研究分担者 |
早川 直樹 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20228555)
森山 英重 (株)東芝, 電力・産業システム技術開発センター, 研究員
酒井 洋輔 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20002199)
小崎 正光 岐阜工業高等専門学校, 校長(研究職) (80023191)
原 雅則 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 教授 (30039127)
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研究概要 |
1. 超伝導電力用機器の電気絶縁特性評価 (1) 平等電界および不平等電界下における液体ヘリウムの動的絶縁性能をクエンチ後のジュール発熱量,ギャップ長,液体ヘリウムの圧力によって3次元的に体系化した.これにより,超伝導電力機器のクエンチ環境を想定した実用的な絶縁設計に対する技術的指針を提示した. (2) 固体絶縁方式直流超伝導ケーブルの極低温電気絶縁材料としてEPRの評価を行った,その結果,極低温では空間電荷の形成が極めて少ないこと,空間電荷に基づく短絡トリーの発生が大きく抑制されることがわかった. これらの成果は、従来の室温CVケーブルの直流化を拒んできた障害を極低温絶縁により一気に克服できることを意味し,押出し高分子絶縁ケーブルの超伝導化と直流化が同時に実現されることになる. (3) 各国で開発ないしデザインされた超伝導発電機の界磁巻線の絶縁設計についてレビューし,絶縁設計上の課題を検討した. 2. 超伝導マグネットの電気絶縁構成要素の耐電圧特性評価 (1) 固体絶縁物中のボイド内部の部分放電特性は.温度に著しく影響を受け,液体窒素温度では絶縁物の劣化が促進される.コイル形状の導体がクエンチして発生する熱気泡の挙動は,電界分布や導体構造に影響を受け,圧力の増加により破壊電圧は上昇する. (2) N_2/Ar混合液体中の遅い電子の移動速度の測定結果に基づき,電子が液体密度擾乱内に局在化されるモデルに基づいて検討し,定性的にではあるが電子局在化機構を明らかにした. (3) 大型クライオスタット内で35cmまでの不平等電界ギャップの直流正極性火花電圧特性を測定した.窒素中では,室温および極低温で火花放電特性に変化はないが.空気中では室温時の方が高い火花電圧を示すことを見出した. (4) 高分子フリーボリューム内にAr,He原子が存在すると.高電界で加速された注入電子との衝突で準安定励起され.これが壁面と衝突して高い効率で分子鎖を切断する.低温においてはフリーボリューム内の気体の影響は少ない.
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