研究課題/領域番号 |
08305016
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地盤工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東畑 郁生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20155500)
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研究分担者 |
赤木 寛一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30150965)
福江 正治 東海大学, 海洋学部, 教授 (40119699)
足立 格一郎 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70184182)
風間 秀彦 埼玉大学, 工学部, 講師 (40008868)
清水 正喜 鳥取大学, 工学部, 教授 (00115859)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 高温圧密 / 土粒子 / 顕微鏡 / 微細構造 / 二次圧密微細構造 / 年代効果 |
研究概要 |
現代の土質力学の理論体系は、実験室で人工的に再圧密して準備された粘土試料に対する精密な実験結果に基づいて構築されている。しかし近年、自然地盤の粘土の力学特性は、実験室で再圧密した試料のそれとは異なっていることが知られてきた。この違いは、自然地盤が非常に長い時間をかけて形成されているために、その間に化学的結合作用や二次圧密等のいわゆる年代効果を破り、粒子の構造が発達したことによるのであろう。しかし本研究の始まるまで、年代による粒子構造の変化を定量的に評価しようとした試みは存在しなかった。 年代効果を実験室で短期間に再現する方法として、粘土を高温で再圧密する方法と化学的結合物質を粘土スラリーに混入して再圧密する方法とが、使用する機器の規格も含め、提案された。 これらの内で高温圧密された粘土の挙動は、室温での結果に比べると異なっている。たとえば圧密時の体積収縮が激しく、二次圧密の急速な進展を示すこと、せん断剛性や強度が大きいことなどである。非排水せん断においては間隙水圧上昇が高温圧密によって小さくなること(強度の増加につながる)ことも過去には報告されてきたが、今回、過圧密粘土を用いて実験したところ、逆の結果が得られた。 粘土を高温で圧密すると、粘土粒子表面に吸着されている水分子の熱運動のエネルギーが増え、吸着力に打ち勝って自由水化し、遂には外界へ排出されて圧密体積収縮につながる現象が、起りやすくなる。じつは室温でも同じ現象がきわめてゆっくりながらも継続しており、それが二次圧密の本質である、という仮説を立てた。 この仮説を検証するために、排出される間隙水の化学分析を行なう既存の試みに加えて、交流電圧を負荷して電気二重層において粘土粒子と吸着水分子との間に作用しているクーロン力を断ち切る試みを行なった。これによって圧密は促進されたが同時に電気抵抗による温度上昇も起こり、温度に独立な観察を行なうには至らなかった。 電子顕微鏡写真を使って粘土の微視的構造を探究することは、過去にも例が多い。しかし上述したように微視構造を定量化する方法が存在しなかった。本研究では顕微鏡写真の濃淡分布に着目し、これをスペクトル分析してみた。再圧密粘土および高温圧密粘土の水平/鉛直断面の写真を撮影し、それをスペクトル分析することによって、粒子の配向構造が検出できることがわかった。
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