研究課題/領域番号 |
08306009
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡野 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30011927)
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研究分担者 |
鮫島 正浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30162530)
奥山 剛 名古屋大学, 農学部, 教授 (00023482)
和田 昌久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40270897)
斎藤 幸恵 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30301120)
杉山 淳司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (40183842)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | セルロースミクロフィブリル / セルロースIβ / セルロースIα / 平行鎖構造 / βキチン / セルラーゼ / バロニアセルロース / 非晶領域 |
研究概要 |
(1) 構造・形態:セルロースミクロフィブリル中での分子鎖は、パラレルアップであり、セルロース分子の還元末端がc軸方向を向いている。分子鎖形成の重合反応が非還元末端で起こる。また、セルロースIβは捩じれていて、厳密な結晶ではないと考えた方がよい。IaとIβとでは、表面が異なる。IaとIβの違いは、木材セルロースでは一次壁と二次壁とでストレスに差があって、それが原動力となって違いを生じるという。加水分解物による高度配向試料を調製することができた。それを重水素置換して中性子回折を行い、結晶中の水素原子の位置を推定できた。その結果、セルロースIIは逆平行鎖構造であり、その理由が分子の疎水面の形状で説明できる可能性を示した。平行鎖構造のベータキチンは一定濃度以上の塩酸で膨潤すると逆平行鎖構造のαキチンに変態するが、そのメカニズムはセルロースの場合と同じである。 (2) 物性:セルロース結晶の熱膨張を詳細に検討し、幾つかの新知見を得た。分子鎖方向には膨張せず、a軸方向が主である。ミクロフィブリル間で熱分解の抵抗性に著しい差がある。セルロース結晶のポアソン比が測定された。木材の力学物性から、セルロースミクロフィブリルには安定した結晶相、非晶相以外に不安定結晶相を考えると都合がよい。この相は水分で非晶化する。木材のヤング率から、ミクロフィブリルの長さ方向に存在する非晶領域は分子鎖の配列、比容からして結晶のそれと大差はない。2相説に基づく繊維の場合は、ミクロフィブリルの幅、長さ方向に非晶が存在する。 (3) 酵素分解性:酵素 特異性とともに、セルロースの状態すなわち高次構造によって著しい差異がある。高結晶バロニアにも特異的な領域がある。 以上、セルロースミクロフィブリルは、起源によって大きい違いがあることが判明した。
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