研究課題/領域番号 |
08306015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澤崎 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00012047)
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研究分担者 |
宮澤 清志 帯広畜産大学, 助教授 (20012031)
田谷 一善 東京農工大学, 農学部, 教授 (60092491)
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
佐々木 伸雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
高橋 迪雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30011943)
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キーワード | ウマの生殖機能の特性 / 20αHSD遺伝子 / インヒビン / アクチビン / フォリスタチン |
研究概要 |
ウマの妊娠維持機構には極めて特徴的な面が多く存在する。そこで、哺乳類の妊娠維持機構において重要とされる各種生理活性因子のうち、インヒビン(I)/アクチビン(A)/フォリスタチン(F)に着目し、妊娠各時期でのそれら遺伝子の発現を、各生殖器官において観察した。また、胎盤のステロイド代謝系において中心的な役割を果たす20a-水酸化ステロイド脱水素酵素(20a-HSD)遺伝子の部分的なクローニングを試みた。その結果、以下の点が明らかとなった。1)妊娠各時期の子宮/胎盤のI/A各サブユニット遺伝子の発現を観察した結果、Aが主に産生されていた。また、その産生部位は母体側の子宮内膜腺であった。他の哺乳類(ラット、ヒト)では、インヒビンが胎子胎盤から産生されるが、今回の結果は、それらとは異なり、比較生物学的に哺乳類の妊娠機構を考えた場合、極めて興味深いものであった。また、Aの結合タンパクとして機能しているFについて、その遺伝子のクローニングを行い、子宮/胎盤での発現パターンは、上述したAサブユニット遺伝子の発現パターンと一致した。2)ウマは、妊娠中に副黄体を形成し、妊娠維持に必要なプロジェステロンを分泌する。この副黄体からIが産生されている可能性を示した。黄体からのI産生が確認されている種はヒトのみであり、ウマの妊娠維持には、他の有蹄類と霊長類型の両者の機構が共存していることが示唆された。3)ウマ胎子生殖腺では、雌雄ともに、主として間質細胞からI-Bが産生されており、間質細胞からのアンドロジェン分泌の維持に役割を担っている可能性が示された。4)ウマ胎盤のcDNAライブラリーを作製し、20a-HSD遺伝子のクローニングを試みた。得られたクローンは、高度に胎盤特異的な発現を,齧歯類の卵巣からクローニングされている20a-HSD遺伝子と高い相同性を示した。今後、蛋白質発現系を用い、本遺伝子がコードする蛋白質の酵素活性、基質特異性について検討していく。
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