研究分担者 |
遠矢 幸伸 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (20180119)
松本 安喜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90251420)
見上 彪 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 教授 (20091506)
山田 俊治 農林水産省, 家畜衛生試験場, 研究員
堀本 泰介 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (00222282)
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研究概要 |
GC含量が極端に低い(約30%)イヌヘルペスウイルス(CHV)の環境下においてGC含量の高い遺伝子の発現を研究するために豚オーエスキー病ウイルス(PrV)のgB遺伝子(GC含量約70%)を組み込んだ組み換えCHVを構築した。PrVgB遺伝子のプロモーターはCHVに組み込まれた状態でも機能し、転写、翻訳されPrVのgB様の糖タンパクを発現した。CHVによって発現されたPrVgBは感染細胞の表面にtransportされ、それに対して作成されたマウス抗体はPrVを中和する活性を有していた。PrVgBはgBa,gBb,gBbおよびgBcと呼ばれる3種のポリペプチドが非共有結合で複合体を形成しているが、CHVの発現するPrVgBも同じ構造を持つことが明らかになった。したがってPrV遺伝子はCHV環境下においてもPrV環境下でも全く同じ糖タンパクを発現するものと考えられた。 DNA合成時に極端なデオキシヌクレオチド3燐酸プールのアンバランスがあった場合、突然変異の起こる頻度が高まることが知られている。ヘルペスウイルスには極端にGC含量が低いもの(CHV)と極端に高いものヘルペスウイルスのゲノムのGC含量が極端に高いもの(PrV.BHV)が存在するが、ヘルペスウイルス複製時のデオキシヌクレオチド3燐酸プールのアンバランスがGC含量の増加あるいは減少への進化的圧力になることが考えられる。ウイルス感染時のデオキシヌクレオチド3燐酸のプールサイズのとゲノムのGC含量の相関関係の有無を研究するために、HPLC法によりdATP,dCTP,dGTP,dTTPのプ-ルサイズを測定した。MDCK細胞をPRV,BHVおよびCHVで感染させ、6時間後に感染細胞をPBSで洗浄し、過塩素酸にて抽出し、炭酸カリウムにて中和し、HPLCカラム(PEGASIL ODS.株式会社センシュ-科学)で分析した。PRVおよびCHV感染細胞中ではそれぞれのデオキシヌクレオチド3燐酸のプールサイズはコントロールと比して有意な差は見られなかったが、BHV感染細胞においてはdATPのプールがコントロールの2-3倍になっていた。したがって感染ヘルペスウイルスのゲノムのGC含量と感染細胞におけるデオキシ3燐酸プールには相関関係が存在しないことが明らかになった。
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