研究課題/領域番号 |
08306021
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応募区分 | 総合 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
島田 幹夫 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (50027166)
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研究分担者 |
片山 健至 香川大学, 農学部, 助教授 (00152687)
近藤 隆一郎 九州大学, 農学部, 助教授 (80091370)
大橋 英雄 岐阜大学, 農学部, 教授 (80021723)
飯山 賢治 東京大学, アジア生物資源環境センター, 助教授 (60012077)
鍋田 憲助 帯広畜産大学, 教授 (70093911)
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キーワード | リグニン / リグナン / 二次代謝物 / 心材成分 / タキソ-ル / 抽出成分 / テルペン / 木材腐朽菌 |
研究概要 |
木質資源は地球上で最も豊富な二次代謝物であり、従来の研究の中心的価値観は、産業的利用を主たる目的とした開発研究であった。本研究は、森林植物と微生物・菌類の二次代謝物質の多種多様な機能を総合的に解析し、それらの「エコノミー」と「エコロジー]意義を統一的に理解するための組織的調査研究である。 今年度では、「エコノミカル観点」に重点を置き20名の研究者が、個別の研究を基礎にして次のような6研究調査項目に従って、情報を収集して相互にセミナー形式で情報交換と討論を行った。 1)新規パルプ材開発のためのリグニンの生合成抑制;2)リグナンの生合成制御機構;3)心材成分利用の化学4)医薬品としてのアルカロイドの生産性;5)森林資源保護に拘わるファイトアレキシン;6)木材腐朽菌類の二次代謝機能と酵素の利用。 森林生命科学的研究において、分子生物学的バイオテクノロジーを応用して研究を進める分野もあれば、有用化学成分の探索や酵素実験系を確立するための植物や微生物の選抜から始めなければない現象論的研究分野まで、多種多様な研究が大きな広がりの中で発展している現状を共通の認識とすることができた。 しかし、パルプ産業的観点では重要なリグニン合成抑制に関する遺伝子工学的アプローチも実際的には多くの問題を含んでおり、基礎研究の深化・発展の必要性を痛感するところとなった。他方、発展の遅れている分野では、新規な反応制御タンパク質の発現が注目を浴びることとなり、森林科学の未開拓分野の活性化が期待されることも明白となった。 次年度では、産業中心主義の「エコノミカル」観点を離れて、植物と菌類の側に立ち生物間の相互作用を中心にすなわち「エコケミカル」観点に力点をおいて、未だ着手されていない重要研究課題の探究を行う。2つの概念の統一、すなわち「共生」を生命化学システムを通して考察し、林産学と林学分野を融合する境界領域研究分野をさらに発展させる。
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