研究概要 |
皮膚を構成する細胞のうち,ケラチノサイト(KC),ランゲルハンス細胞(LC)およびT細胞についての検討を行なった。ケラチノサイトはMHCクラスII抗原の発現を誘導し,LCと抗原提示能について,種々の抗原について検討した。その結果,LCの抗原提示にはCD86が関与するが,CD80は関与せず,抗CD54抗体では部分的な抑制がみられた。一方KCによるものでは,CD80,CD86の関与は認められなかった。しかしKCではT細胞上のCD28が関与していることが示唆された。LC上のCD-stimulutory moleculeの発現が種々のサイトカインによって異なったregulationをうけていることがこれまでに明らかにされている。GM-CSFによるB7-1のupregulationがIL-1ではsynergisticにupregulateされるのに対し,TNF-αではそのような働きのないことも明らかにされた。またヒトのLC上に発現しているHECA-452単クローン抗体で認識されるCutaneons Lymphocyte-associated Antigen(CLA)は、LCの皮膚への遊走に重要な分子であることも示唆された。 皮膚のT細胞については,マウスの真皮に樹枝状の形態をとるT細胞が新たに見出された。この細胞の由来について現在検討がなされている。表皮内の樹状T細胞(DETC)については,TCRδのノックアウトマウスについて検討された。このδ^<-/->マウスのDETCの多くはαβTCR^+,CD8^+であり,これらの細胞をin vitroでIL-2と共に培養することによって,γδ^+のDETCに類似したキラー活性を示すことが明らかにされた。ヒトにおいては固定薬疹の病変部表皮内のT細胞はαβ^+,CD8^+でしかも限られたTCR Vα,Vβ遺伝子を用いていることも示された。 このように皮膚における免疫に関与する細胞とその性状が次々に明らかにされている。
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