研究概要 |
塩原らは,ハプテンのくり返し投与により皮膚局所の抗原特異的免疫反応はTh_1からTh_2へシフトし,early-typeの反応が生じることを明らかにしているが,今回,局所リンパ節でも同様のシフトのおこることがRT-PCRによって明らかにされた。またこれらのリンパ節細胞の培養上清中のサイトカイン測定によりタンパクレベルでもこのシフトを確認した。さらにこの反応は反応を惹起した局所皮膚のサイトカイン環境により反応のパターンが決められることが明らかとなった。 玉置らはマウスよりランゲルハンス細胞(LC)を95%以上のpureな細胞集団として採取することに成功し,このLCを閉いて抗原提示において重要なCD80,CD86,CD40について検討した。M-CSF,Gμ-CSF,TNF-αによって異なった発現増強作用がみられた。クルマコルチコイド(GC),FK506,シクロスポリンA(CyA)ではGCで全ての分子の発現抑制が強くかかるのに対し,FK506,CyAでは軽度の抑制しかかからなかった。更にGCで抑制されたCD80,CD86,CD40はM-CSF,GH-CSF,TNF-αによって異なった抑制阻害をおこした。 滝川らはLCのハプテン提示におけるCD80,CD86,CD54についてトリニトロフェンル,キノロシを用いて検討したLCにおいてはCD86が共刺激分子として重要であることが示された。またLCの機能は角層バリアを破壊した付着では高まっており,MHCclassII,CD86の発現が増強し,ハプテン提示能が増強していること,そしてこのときケラケノサイト由来のIL-1αが関与していることが示された。 相場らは,樹状細胞(DC)に対するハプテンの作用を明らかにするためにハプテン高濃度でのDCについて検討し,DNCBは濃度を増加するとDCでnecrosisをおこすのに対して,Niではapoptosisをおこすことを示した。更にDNCB,Ni刺激でのDCにおけるsignal transductionについても検討を加えている。
|