研究課題/領域番号 |
08307020
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応募区分 | 総合 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西 勝英 熊本大学, 医学部, 教授 (00040220)
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研究分担者 |
藤野 雅之 山梨医科大学, 教授 (60090487)
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70159888)
伊藤 勝昭 宮崎大学, 農学部, 教授 (70136795)
伊東 祐之 九州大学, 医学部, 教授 (80037506)
小林 繁 名古屋大学, 医学部, 教授 (00018342)
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キーワード | プロトオンコジーンc-kit / 蠕動運動 / 電気的徐波 / 腸管自動運動ペースメーカー機構 / ヒト慢性特発性偽腸閉塞症 / 歩調取り部位(pacemaker area) / エンドセリンB受容体を欠乏するAR(S1 / S1)ラット / 内皮細胞由来過分極因子(EDHF) |
研究概要 |
西らは、レセプターチロシンキナーゼを発現するプロトオンコジーンc-kitに対するモノクローナル抗体(ACK2)を、BALB/cマウスに生後2-4日間にわたり投与すると、腸管全体に麻痺性イレウスが発現することを見いだし、ACK2処置小腸では、規則正しい蠕動運動および電気的徐波(slow wave)の発現が認められず、さらにACK2処置小腸標本を組織学的に検索した結果、コントロール腸管では観察される粘膜下腸管平滑筋層に見られるc-kit細胞に欠如があることを観察し、腸管の自動運動のペースメーカー機構の一端をc-kit細胞群が担っていることを示した。伊藤勝昭らは、ACK2処置胃摘出標本を用いて、その電気的、機械的自発活動について検討した。その結果胃幽門部標本では、下部腸管と異なり自発活動が認められた。今後c-kit細胞とこの細胞に依存しないペースメーカー機構の可能性との関連について検討をすすめている。藤野らは、ヒト慢性特発性偽腸閉塞症について形態学的に検討し、腸管壁の内輪外縦筋層間にc-kit細胞が現象している事を見いだし、本疾患の病態の発現にc-kit細胞が関与していることを示唆した。小林らは、モルモット結腸の歩調取り部位(pacemaker area)とされている部位に含まれている平滑筋の生理学的収縮能を調べ、腸管膜付着部の輪走筋内に規則正しい自律性律動収縮能を有する小結節を見出した(P小結節)。小結節の形態学的検討の結果内輪筋の粘膜下層表面に細かい突起で互いに接触し合う特殊な形態を示す平滑筋と神経終末を認めた。尾崎らは、エンドセリンB受容体を欠乏するAR(S1/S1)ラットの消化管の収縮性について検討をすすめており、このラットの下部腸管では神経層を欠き自動能が欠如しており、盲腸で高濃度Kに対する感受性、回腸でのカルバコールに対する感受性が有意に増加していることを見いだしている。今後のACK2処置ラット腸管との比較検討を進めている。伊藤猛男らは、血管平滑筋の収縮弛緩における内皮細胞由来過分極因子(EDHF)の役割について検討し、EDHFの関与はアゴニストおよび血管床によりことなることを見いだしている。伊東らは、腸管平滑筋のアセチルコリンで開口するチャネルの電気生理ならびに分子薬理学的な面より研究を進めている。
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