研究概要 |
1.在宅ぼけ老人問題に関する文献調査,および 福祉・医療・保健・建築などの分野のぼけ老人問題の研究者等に対するヒアリングを行い,在宅ぼけ老人問題と住居的対策の関係に関する従来の研究の到達点 および 研究課題を把握した。 2.在宅ぼけ老人に関するケーススタデイを行い,その結果をまとめ,住まいや住み方の工夫の実態等を次のように明らかにした。 ・住まいや住み方の工夫の実例を収集した。工夫の内容は,失禁・徘徊・火災危険などに対する工夫および介護者の生活を守る工夫など様々であった。 ・上記のような住み方の工夫を実施した結果,介護負担の軽減,問題行動の減少などの効果が生まれていることが具体的に確かめられた。 ・介護苦労と生活空間には密接な関係があることがわかった。すなわち,痴呆性老人の問題行動(生活行動)を助長するような生活空間的要因が存在し,また,痴呆性老人の生活行動能力の低下を補い,問題行動の発生を防ぐような生活空間要因が存在する。 ・痴呆性老人の行動をより多面的・科学的に理解し,優しく介護するためには,これまでの医学や福祉の視点だけではなく,住まいの視点が有効であることがわかった。 3.阪神・淡路大震災および平常時における生活空間や生活状況の変化がぼけ老人とその家族に及ぼした影響についてケーススタデイを行い,その影響の内容を具体的に把握した。 4.痴呆性老人のグループホーム・グループリビングについて調査を行い,住まいや住み方の工夫および地域とのつながりを具体的につかんだ。
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