研究課題
基盤研究(B)
平成8年度は研究プログラム遂行のための学問思想内容上の準備と、研究代表者の拠点である東京大学における研究体制の基礎的設備を充実させることを主たる目標とし、それを実現した。まず、西洋近代科学の建設にとって重要なデカルトに関連して、佐々木力とラシェドは、パリで6月初旬開催されたデカルト生誕400年記念会議「デカルトと中世」に参加し、理解を深めた。ラシェドはこの会議の組織責任者であった。7月27日、28日には第1回の研究会合を神奈川県湯河原でもち、研究題目につき基本的な研究現状を報告し、確認しあった。佐々木が「研究プログラム」を提案したあと、「科学論の現段階」と題して、日本における科学史・科学論研究の到達点と主要な課題を述べ、また鎌谷親善が「産業技術史のメモ」と題して、わが国近代の技術史をいかに研究するかの方法の概要を述べた。2月1日、2日には第2回会合を静岡県西伊豆でもち、村田純一が「技術と社会/文化」と題して、技術と社会の関係をどう理解すべきか議論を展開した。また、橋本毅彦は「技術とナチ・イデオロギー」と題して、技術が政治的に歪められる場合の事例研究について話した。2回の会合を通じて、若手研究者を啓発することができた。なお、佐々木は国内旅費を用いて、四国での学会講演を行うことができ、そしてラシェドは外国旅費を用いて、ヨーロッパでの年末の学術会合に出席することができた。
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