研究課題
基盤研究(B)
3年に及ぶ研究期間に、研究代表者の拠点である東京大学大学院総合文化研究科における研究体制の基礎的設備、文献を充実させることができ、また、海外の研究拠点、とりわけフランスの国立科学研究センター(CNRS)、パリ第7大学との交流を通じて、日本における西欧科学技術史の研究状況を把握するルートを開拓し、さらに日本科学技術史の研究を国際的視点から見直す機会をもつことができた。平成8年度には、西洋近代科学の建設にとって重要なデカルトに関連して、佐々木力は、パリで6月初旬開催されたデカルト生誕400年記念会議「デカルトと中世」に参加して、講演し理解を深めた。平成9年度にはベルギーのリエージュで7月下旬に開催された第20回国際科学史会議に研究分担者を派遣し、科学技術史の国際的研究状況をとらえることができた。佐々木はシンポジウム組織者となって中心的に活躍した。平成9年度から10年度にかけては、フランスのCNRSとパリ第7大学が、エジプトと日本の近代化における科学の役割についての比較研究シンポジウムを企画し、日本からは報告者として、吉田、古川、佐々木が赴いて、フランス側の研究者と交流を深めた。また、佐々木は渡仏の機会に、パリ第7大学、リヨン第3大学で講義した。国内においては、平成8年度には近代科学技術の思想史的意味について問う研究集会を2度、平成9年度には科学の哲学的意味を問い直す研究集会を1度、平成10年度には、17世紀の西欧科学革命についての研究を発表する集会を1度、組織することができた。本研究プログラムを継承し、近い将来、日本における西欧科学技術史研究の深化、日本の江戸時代・明治以降の科学技術史研究の国際化へ向けて、新たな段階を画するような本格的な国際的交流プロジェクトが組織される必要がある。
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