研究課題
この研究では、人体に慢性的な影響を与えるといわれている大気中の粒子状物質について、発生源を同定してその寄与率を推定することを試みた。従来の研究では、モデルに含まれている発生源プロフィールを既知の定数として取り扱っていた。しかし、発生源プロフィールには元来は不確定性が含まれているので、そのこともモデルに取り入れた解析法を考察しようとした。これまでは発生源から観測点までの物質の変化の構造やモデルに含まれる係数が決定論的に論じられていた。そこで新しい統計モデルを導入して未知母数を推定することに成功した。その結果、変動係数が一定であるという仮定なしに推定値を得ることができた。加えて、その誤差の評価も可能となった。これらの成果により、室内空気の汚染におけるタバコの影響を定量的に評価することができるようになった。人が室内で生活する時間が少なくないのに、室内の空気についての研究成果は、国際的にもこれまでにはほとんどなかったので極めて意義深いと思われる。
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