研究課題/領域番号 |
08309006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 俊夫 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (40027553)
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研究分担者 |
高津 孝 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (70206770)
伊從 勉 京都大学, 人間環境学研究科, 助教授 (00151689)
山里 純一 琉球大学, 法文学部, 教授 (50166659)
三浦 國雄 大阪市立大学, 文学部, 教授 (60027555)
都築 晶子 龍谷大学, 文学部, 教授 (00115601)
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キーワード | 沖縄久米島 / 家文書(久米島) / 日選 / 風水 / 医学書 / 媒介機能 / 知識人 / 福州(中国) |
研究概要 |
(1) 報告書作成をめざし、京都と名護で合同研究集会を開催、また数次の編集会議を那覇と京都で重ねた。 (2) 家文書は、上江洲家文書中の多量の宗教、経済関係文書を中心に解読を進め、吉濱家、興世永家の漢籍、和本、写本類のうち重要なものを精査。また吉濱智改氏の易断を継ぐ宮城仁収氏の文書を発掘。実態が明らかに。 (3) 4家の家文書目録稿本をほぼ完成。内容をよりよく反映すべく、従来の沖縄の家文書分類とは別方式を工夫。 (4) おもな知見は、日選については、<17世紀末上方刊行の大雑書類><19世紀後半福州刊行の玉匣記類><それ以外の久米島で重視された知識>との重なりが判明、風水については家屋、墓地をめぐる空間意識を家文書と実地調査の双方向から検討、福州や温州の慣行との比較からその共通性と特性とを見出した。また興世永家の医書箱の蓋に収納書名一覧の墨書を発見。近世における琉日中の医学知識の重なりを示す基礎情報を得た。 (5) このたびの総計1800点に余る家文書の解読を通じて、王府役人とは異なる地かた知識人の世界が明らかになった。その特徴は、彼らが、道学から術数にいたる東アジアの多彩な伝統が錯綜する土地にあって、それらを重層的に体現するがゆえに、土地の人々の日々の求めに柔軟に応じて意味付けを与え、共同体をまとめ上げるという媒介機能を果たしえたことである。彼らの知は、祖先祭祀を核に、諸行事の日選びや風水判断という、時空をしきる実践をくり返す中で独特の統合をとげていた。 (6) 上記の所見を、福建師範大学の徐恭生教授らのレビューを受け、広い視野のもとに再考した。ただ、ある時期の<久米島文化>なるものを論ずるには、隣接仲里村の文書発掘をはじめ、周辺諸島も含む調査が俟たれる。 (7) 活動速報としてワープロ版ニューズレター『とぅんばらー通信』9、10号(A4/pp.33)を発行。第11号準備中。
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